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携帯は鍵と化す
ただ私は聞きたかったのだ
その声その音を
始まりは移り変わる世の中でただ淡々と生きる自分に起きたことだった。
谷下 隆太 32歳 そこそこの中小企業で働くサラリーマンだ。平凡な私にも趣味はあるものだ。
巷でよく聞くasmrそういったものに取り憑かれたかのように、それがないと寝れないのだ。
私は携帯から流れるようにするためいつも枕の下に置き寝ている。それが悪かったのだ。
所詮、枕も布ベットも布である。そこに携帯が誤って温められ熱を帯びた。それにより家が燃えたのだ。
なぜこんなふうに他人行儀に話せるかって?
私にも分からない。子も妻もいないので大事なものがだんだんなくなっていっていたのだ。
私も発火した時は焦ったが、今じゃもう遅い。
民衆や消防が来ているが私の住んでいたアパートは燃え尽きるだろうな。周りの方々に迷惑をかけなければいいのだが。