何かが壊れた
目を覚ますと、俺は村の療養所にいた。
「目を覚ましたかのう?」
目の前では、村の長老が心配した顔でこちらを見ている。
「あのう、何が」
俺は、とても嫌な予感がして尋ねる。
「辛いかもしれないが、どうせわかることじゃ。隠しても無駄じゃろうから伝えるぞい」
長老の言葉に、何故か心臓がドクンと脈打つ、さっきから汗が止まらない。
「ライガ、君の両親は助けられんかった。
すまない、ワシらが気がつかなかったばかりに、本当にすまないことをした」
長老の言葉を聞いて、昨日の光景が蘇ってくる。盗賊団に斬り伏せられ《《血を流し倒れる》》母さん。俺の目の前で!《《刺されて血を流して》》目の前で倒れた父さんの姿がフラッシュバックする。
「ゲボッ!」
俺は、あの光景を思い出し吐いてしまった。
それと同時に、
「うっ、うわぁぁぁぁぁ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、そんなの嘘だ」
「すまない、嘘ならどれだけ良かったことか」
今日も頑張ったと頭を撫でて笑ってくれる父さん。小さな勇者が頑張れるようにと美味しい料理を作ってくれる母さん。
もう、2人には会えないのだと思うと涙が次から次へと溢れてくる。
「まだ、英雄になってないのにぃぃ。どうして、俺をおいていっちゃうんだよ。せめて、俺もいっしょに連れていってくれたら良かったのに」
俺の絶叫が鳴り響くがいつも俺を慰めてくれる、優しい父さんと母さんはいなかった。
*
三日後、父さんと母さんの葬式が行われた。
俺は出席できなかった。足が動かなかった。
2人を笑顔で送り出してあげるべきなのに、葬式に出てお別れをするべきなのに2人の死を認めることができなかった。
俺が意識がもうろうとした状態で歩いていると誰かとぶつかってしまった。3人くらいだな。
「すいません」
俺は、気が抜けた状態で謝ってその場を去ろうとする。
「おい、待てよ。そんなしょぼい挨拶で許されるとでも思ってんのか? 顔上げろよ?」
肩をつかまれてしまったので、俺はしょうがなく頭を上げる。
そして、俺の顔を見るなり3人組は大爆笑を始めた。
「誰かと思ったらライガじゃねぇか、君の両親亡くなっちゃったんだってね、ご愁傷様でしたー」
思い出した。こいつらは村の悪ガキどもだ。
俺を遊びに誘うが俺は修行をしたかった為断ると逆上して俺に嫌がらせをしてくるようになった奴らだ。俺が不幸な目にあって楽しいのだろう。しかし、俺は今はこんな虫のような存在なんてどうでもいい。
「英雄になるんだって特訓してたのにぁ。
残念だったねー。盗賊団すら倒せないとか、何の為の特訓だよww。はー、まじダセェ。
何の為に長い間特訓してきたのか分かんねぇなあ。ってか本当にしてたのかよ。弱すぎるだろ?」
「実は家にとじこもってただけなんじゃね?」
「あり得る。弱すぎるもん」
「ってかさ、あんな親の子だしさ強くなれないんじゃね?」
「かもなー、両親弱っちそうだったもんなぁ」
下卑た笑いをする3人組。
「誰が弱いって? 俺の両親は弱くなんてない。自慢の______」
「聞こえませーん。ってか、あんだけ特訓しといてたかが盗賊団に勝てない奴とか俺達に口出しする権利ないから、大人しくこれからは俺達のパシリでもなっとけよ」
目の前の3人組はその後も何が言ったきたが何もはいってこなかった。
あれだけ特訓したのに、英雄になるどころか大事な2人を守ることすらできなかった。
その現実は、俺の何かを壊したような気がした。
3人組は、俺を散々痛めつけて満足したのか去っていった。
俺はひどく自分に失望した。もう、何も失いたくない。こんなことなら、転生なんてしたくなかった。大事な人を失うことがあるなら。
俺は誓った。「どんな手を使ってでも勝つ」
もう何も奪わせない為に。
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すいません、大分重いスタートとなってしまいました。自分としても、これだけ暗いのは初めてでどうすればいいか分かりません。
主人公のに何をしてでも勝つの性格を作る為にどうしてもこの生い立ちにする必要があり、辛いですがこうさせて頂きました。
なるべく、早く成長した主人公が明るく馬鹿みたいに卑怯な手で冒険していくストーリーにするつもりなのでもう、少し耐えていただけると嬉しいです。




