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浄火とネオンサイン  作者: サッカリン
2/2

地下の怪

カラン、と何かが落ちる音がした

少年と少女が振り返ると、監視カメラらしきものが落ちているのが見える

「…行こう。」

「…うん、わかった。」


少し歩くと、鉄の臭いがしてくるのを感じた

ふと目を凝らすと、薄暗い下水道に血痕がべったりと付いているのが見える

「……」

それでも2人は歩みを止めず、ただひたすらと前に進む


…ガラッと何かが転がってきた

「これは…?」

少年がそれを拾ってみると、細長くて白い棒…ネオン管に酷似した何かであると分かった

「…ッ!」

そのネオン管に触った時、何故か小さい悲鳴と少年が苦痛に満ちた顔を見せた

転がってきた方向を見た瞬間、

「人間が何の用だァ?ここをどこだと心得ているのかァ?」

声はするが姿は見えない…いや、目の前に霧状の“なにか”が蠢いているのが見える

「きひひ、今はぁ……1時59分!!!惜しい時間に来た!来た!」

時はもう、深夜2時に差しかかるところであった

鬼門は開き、人間の支配する世界から魔物が跋扈する世界へと変化する約束の時間

「…気をつけて、もう一体いる。」

少女がそう言うと、上を指差した

「…御名答。たかが人間、それも機械に頼らずに生身で、よく分かりましたね。褒めてあげますが…」

「死んでもらう!きひひ!久々の若い肉!若い肉だぁ!」

姿ははっきりと見えないが、上にいるのは蜘蛛に見える。

ネオン管の方には腰に布を巻きつけた、少年達より少し小さいぐらいの赤い人型のなにか。

後ろには、単眼で、身長は少年達と同じくらいの子供が朧げながらに見える。

「クソッ…こんな所で足止めなんて…」

「どうするの?」

2人には時間がない 特に、少年は理解していた

「隙をついて奥に進もう。自分が先に出るからついてきてくれ」

先刻のあの心臓の痛み。恐らくあのネオン管は一体…

後ろから足音、上からは刃物を擦っているような金属音


突然音が鳴り止んだ 先程の禍々しい気配が嘘だったかのように引いて行く

「…油断しないで」

「ああ、わかった」

少年が頷いた瞬間、上から槍のような鋭利な刃が襲ってきた




「…申し訳ありません。“黒服”の方々」

少年達を追いかけていたパトロールの若い男が、虚空に向かって話しかけている

「…使えねえな…これだから“白装束”は…まあいい。今そっちに向かってるから、到着次第各々の処罰を下す。待ってろ。」

無線からは海底の水圧よりも圧力のある女性の声がする

若い男は“白装束”の言葉を聞き、全身に怒りを覚えた

「了解。 全員、“土竜”共が、“歯車の神”の代行者さん達が来るぞ。全員待機だ。」

その男の部下達は一瞬の動揺を見せたが、すぐに直立不動となり敬礼の姿勢を取る。

そうして敬礼を受けた男は煙草をふかして空を仰いだ。

彼は、宇宙を見た。

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