日常
鐘の音が鳴っている、恐らく近所の寺の小坊主が朝早くから起きて鳴らしているのだろうと私は布団の中で思った。
暫くこの鐘の音に耳を傾けていると、私はある違和感に気がついた。
鐘の音に混じって不快な金属音が聞こえてくるのだ。
それは言えもしれぬ耳障りな音で、まるで錆だらけのハサミ同士を擦り合わせているような異音だった。
私は異音が窓のすぐ外にある道路から聞こえてきていると分かり、居ても立っても居られず音の正体を知るために窓を開けた。
そこには全裸の剪定バサミが立っていた。
「やぁ、早起きだな、君も一緒にラジヲ体操をしないか?」
剪定バサミはそう言うと錆だらけの薄汚れた体を軋ませながら体操を始めた。
「あんた何言ってるんだ?大体何で服を着ていないんだ通報するぞ?」
私はわざとらしく迷惑そうな顔をして見せる
「何で服を着ていないのかだって?こんな状態で服なんか着たら赤錆で汚れちまうだろう?」
「それもそうか、所で何で体操なんかしてるんだ?」
剪定バサミは満足気な表情でこちらを見上げる
「こうする事で錆が取れやすくなるのさ君もどうだ?長いこと使われてなくて錆だらけだろ?」
私は自分の姿を鏡で見る、剪定バサミの言う通り私の体は長年使われなかったことによって錆だらけになっていた。
「あぁ、分かった不本意だがこのままだと完全に錆びついちまうしな今そっちに行くよ。」
「おう!早く来い俺は一足先にいってるぜ」
私は窓の蓋に足をかけ、今から一日が始まると言う清々しい現実と共にジャンプした。
夢に見たものをそのまま書きました。
許し亭許し亭