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白銀の乙女と堅物侯爵(短編化)

作者: 雨居恋路

長編のあらすじを短編として読めるようにした作品です。

とびらのさん主催『あらすじだけ企画』寄稿作となります。

 白銀の髪に赤みがかった紫色の瞳。見た目だけなら淑女の鑑のような子爵令嬢ロッティは、堅物で熊のように大きいアルベロ侯爵から突如求婚される。三日前の夜会で出会ったらしいが、ロッティには挨拶したくらいしか覚えがない。しかもロッティは見た目とは違い結婚するよりも、なれないと分かっていても父と同じ魔術師になることが夢だった。しかし、爵位の差から無碍に断れずひとまず交際することに。


 噂されるような堅物とは思えぬ甘い言葉に贈り物。戸惑いつつも時折見せる真摯な態度や熱い眼差しに次第に心寄せるロッティ。ふたりの仲が親密になる一方、バラ色の瞳を持つ王太子からも好意を寄せられるようになる。猜疑心が強く、まだ婚約者もいない王太子は忠実な側近のアルベロが認めた令嬢なら裏切られることもないのでは? と近付いてきたのだった。


 王太子から求婚されれば、いくら侯爵でも太刀打ち出来ないと焦ったアルベロから急かされ、一ヶ月の短い交際の末求婚を受けることにしたロッティ。問題は持参金。子爵家は貧しい訳ではないが、相手は侯爵。急な結婚に手持ちでは心許ない。魔力が減り魔術団を退団した魔術師の父が伝手を頼り出稼ぎに向かう。


 その間もアルベロとの逢瀬は続くが次第に態度がよそよそしくなり、不安を覚える。父から侯爵家に見合う持参金が届くが、本人からの連絡はなく、結婚式の前日にも戻ってこない。父の不在から式を延期したいと申し出るロッティだが、アルベロは式を強行。不信感が募る。


 不安の中迎えた初夜は優しく丁寧に抱かれ、痛みもない。ただし純潔の証もない。安堵と同時に違和感を覚える。


 新婚生活は甘さよりも侯爵家に馴染むことに忙しく、結婚とはこういうものなのか? と戸惑うロッティ。結婚後、より距離を取るアルベロとは閨だけを重ねる日々。次第にこの結婚には裏があるのではと疑問が沸いてくる。


 そんな折り、行方不明だった父が部下で幼なじみのフリードにより発見される。父は昔の教え子で不老の賢者オスカーに監禁され、衰弱していたものの魔力は回復したという父に面会したとき、ロッティには強力な呪いがかけられてることが分かる。


 呪いの正体を調べるには賢者の力が必要。国内にいると言われる賢者はふたり。オスカーと大賢者シシィ。オスカーは捕らえられ面会禁止の禁固刑、シシィは神出鬼没。フリードとともに、シシィを探す旅に出ることに。


 フリードはロッティを気遣い優しく接してくれる。魔術師になりたいと夢見るロッティをバカにして口喧嘩ばかりしていた幼なじみの意外な一面に友情を育む。しかし、フリードは友情ではなくロッティを愛していると告げる。


 アルベロとフリードの間で揺れ動くロッティだが、旅の最中に妊娠していることが発覚。危うく流産しかけたが、アルベロとの子を失う恐怖の中、アルベロを心の底から愛していることに気付く。


 生命の危機なロッティの前に現れたのは、自分によく似た少女。彼女こそ、大賢者シシィ。ロッティを癒し、胎児も無事だと分かる。


 シシィに呪いを解いて欲しいと告げると、その呪いはアルベロと出逢ったあの夜の記憶を消すよう、ロッティに頼まれてシシィがかけたものだと言う。


 結婚後のアルベロの態度の変化はそのときの記憶がないせいだと確信したロッティは、シシィに戻して貰うよう頼む。記憶はあの夜、ロッティがアルベロと褥を共にした記憶だった。熱く激しく、生々しい閨の記憶。しかもロッティから誘ったものだった。


 なぜ? そんなことに。いや、それよりもアルベロがロッティに求婚したのはその純潔を汚したからだったのだと思い、侯爵家に戻ったロッティはアルベロへ離縁を申し出る。


 アルベロはきっかけは確かにその夜があったからだが、その後ロッティを知るごとに惹かれていき、今では愛しているという。あの夜、結婚を渋っていた王太子にロッティをあてがおうとする王妃の策略でロッティに男を誘う呪いが掛けられたこと。それを知り、王太子の盾になったから責任を感じていること。


 一生懸命遊び人の真似をして甘い言葉を囁いたが自分は朴念仁で、王太子から口説かれればロッティは自分のもとから去ってしまうかもしれないと、結婚を急いだこと。もちろん、あの晩で妊娠した可能性もあって、父親不在でも結婚を強行してしまった。


 本当のことを知ればロッティが離れてしまう恐怖とそれでもロッティを愛していて手放せず、曖昧な態度になってしまったことを吐露するアルベロ。


 真実を知ったロッティはアルベロに妊娠していることを告げる。妊娠していても、離縁するというほど、自分を嫌いになったのかと落ち込むアルベロに、本来の堅物で不器用なアルベロが好きであること。子どもが出来て嬉しいこと。そして、愛していることを告げるロッティ。


 ようやくふたりは本当の意味で夫婦になる。

 

書くとしたらムーン行き確定です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 恋愛のごたごたがありつつもラブラブもあり、それでいて冒険もあって、旦那の他にも自分を好いてくれる相手がいる。 非の打ち所がないお話だと思いました。 それに、とても綺麗にまとまっていますね。…
[良い点] まずこの繊細な美貌の令嬢と無骨で熊のようなカタブツ男のワケアリ婚姻譚というパッケージだけで十分以上の人気が出そうです。 物語の起承転結、出会いからハッピーエンドまでのイベントが豊富ですね。…
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