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転移したら目前イケメン集団でした。…って言葉通じないんですが??

作者: 蒼浦竹刀

「えっ、無理…辛い…」


気がついて目が覚めると、目前にはイケメン集団…こんな言葉がつい出てしまってもそれは私仕方のない事だ。断言する。

金髪碧眼王道王子っぽい人、真紅の髪と瞳の騎士っぽい人、銀髪の杖を持ってる魔法使えるっぽい人、黒髪の神父っぽい人…周りはなんだこの教会っぽい西洋風の荘厳っぽい場所に…再度言おう。イケメン集団だ。

…ええっと…何かの撮影で??

何故こんなところに自分が??混乱しかない。


「ーーーー」

「ーーーーーーー」


…えっ、美声。

でも、何語!?


「ーーーーーーーーーーーーー」


動きから、私に話しかけてきてるっぽいことはわかる。

だが、全然わからない。

そのっ…何となく義務教育で触った唯一の他言語、英語っぽくはない気がする。いくらネイティブ過ぎて訛りが強くでも、聞き覚えのある単語が皆無だから。

ってことはアメリカや語幹の似ているドイツも違う。外見的に西洋だからイギリス語?…ってそれは英語だ。…キラキラ感的にフランス…?

そうこう考えてると待って、なんかイケメン、杖から火とか出してるんですが、もしかして異世界ってやつですか??

わー、ファンタジー素敵!


「何言ってるか全然わからないけど!!」


おっとつい大声が出た。

突然の声に、イケメン集団は後ずさる。

アレだ、警戒する野良猫みたい。


「ーーーー」

「ーーーーーーー」

「ーーーーー」


やばい誰が話してるかすらわからない。

こう言うのって、ご都合主義で言葉がわかるとか、言語が一緒とか、何やかんやの魔法とかコンニャクとか…


「ーーーー」


王子(推定)のご尊顔の不意打ち。

見てください、この15cm定規で測れるほどのこの近距離。うわっ睫毛長っ!

私が近視系鈍感ヒロインだったなら何も感じなかっただろう。

整った顔立ち、ザ・王子感バリバリのオーラ、艶髪、背景に見える薔薇の幻覚!

あー!もう!!


「顔が良い!」

「ーーーーー」

「尊い!!」

「ーー……ーーーー??」

「首傾げるとかなんだよあざと可愛い!!!」


いっそわからないなら叫んでしまえ!

引かれてる?何を今更!


王子に騎士(仮定)が肩を叩いている。

…んん?代われって感じかな?

じーっと目だけが合う。

えっ、何ですかこれ?

心理学でも振られてます??

かと思えば、バッと手や体を動かして…ああ!ジェスチャーですね!!


バッバッバッと動きを観察する。

なるほど…

なるほど……

なる…ほ…


「いや、わかんないって!」


何となくアホ可愛い感じのことしか伝わらんのだが??

首をブンブンと振ることしかできない。


…流石に身振り手振り…特に頭部付近を動かして騎士が倒れる。目…回したんですね…

いや…うん…お疲れ様です。


これに入れ替わるように魔法使い(暫定)が杖を振る。

空間が歪み、髪が靡いてる…イケメンにのみ許される謎の風を見れるとは…

何やら厳かな光!!おっと!?これはやっと会話ができるようになる何やかんやの魔法がーー


ポスンと音を立て、大小2つの見知った影が目前に落ちる。

ええっと…これ、私が知る限り…


「ノートとペン?」


しかも、学生が一度はお世話に絶対なってる某有名メーカーのノートに、万能3色ボールペン…ファンタジー感どこ行った!せめて万年筆

とか羽ペンとか…おっと脱線。

…これをどうしろと?ちらりと魔法使いの方を見る。


身振り手振りで、ふむふむ。

ノートを、開いて、ペンを、持って、ノートに、書く。


…うん、ごめん、知ってた。

そんなドヤ顔されても当たり前すぎて、真顔になるしかない。

いや…?でも言葉が違っても文字が一緒とか異世界なら割とあるあるかもしれない。


とりあえず書く。

[ここはどこ?]

くらいでいいかな?

それを開いて見せる。


魔法使いはノートを覗いて、数回頷く。

これでやっと進展が…

満面の笑みで、手を広げて、肩をすくめ、首を横に振る姿…

あーこれはさっぱりわからないってやつですねー!なんとなくそんな気はしてた!!てかそのジェスチャーは一緒なのかよ!!!


愕然とする魔法使い(なんでそんなにショック受けてるんだ?)の横から神父(偏見)が前に出る。

私の額に指を当て、目を閉じ何かをブツブツ呟いている。

すっと目を開き、指を動かしてた…手を組んだ。


「いや、もう、このパターン分かり切ってるって。どうせダメなんでしょ?知ってる。」


冷めた言葉を言い放つ。

言い放つって言うよりもはや独言だよ。もっと言えば呟きだよ。140字以内にまとめて投稿する青い鳥系のアレだよ。


「そう言いたいところなんですけど、ようやく会話できそうです。」

「いや、うん、そう言う冗談はーーえっ」


久々の聞き取れる言語に固まる。

目前にはニコッと微笑む神父。

状況把握できないと言うか、急に耳が仕事したと言うか聴覚野が活性化したと言うか


「おーい。」

「すみません、いきなりのことに思考が追いつきません。」


ですよねーと神父は人のいい笑みを浮かべている。

…こいつ、対応できるのにわざとしてなかったんだ。絶対黒い。笑顔、胡散臭い。


「すごく失礼な事考えられてる気がするけど、私はただステータスを確認しただけです。」

「…確認?」

「確認したと結果、主が加護を与え忘れ…ですね。我主はうっかり屋さんで困ります。」

いやうん困るってレベルじゃないぞ??

「あなたとはなんで会話が…まさかさっきの動きが儀式か魔法的なーー」

「あれはただの主神に対するぼうげーー」

「コホン、えええ、はい、儀式的なアレですね。」

んんん??騎士から暴言って聞こえた気が???

「幻聴です。」

「手刀決めながら涼しく言われても説得力ないのですが??と言うより心読まないで!?」

「幻聴です。」

いやうん人の良さそうな笑顔もせられても説得力皆無…この人、怒らせたらダメな部類だ。

「どうしましたか?」

「無害に首を傾げて笑顔になられても、その腹黒さはもう手遅れです!!!」

「…ちっ。」

諦めの舌打ち。この人怖いよ…


これが私がこの世界にきた初めのやり取り。

何も始まらず、何もわからない状態で、何に巻き込まれるか…不安しかない。

ハイテンションツッコミ系主人公って好きなんですよね…。

きっと彼女なら逞しく生活していくでしょう。

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