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エトワール・モンド  作者: 篠芽 えりす
第一章『不思議な力との出会い』
3/5

ミドルフィンガーリング


なんだか沢山話された気がするが、少し疑問に思うところが何ヶ所かある。

「俺達の世界に天使が関与できないって言ってましたけど、何でですか?」

「…天使が下界に降りられるゲートである天使の梯子を私が封鎖したからです。天使は人間界に降りられなくなりました」

「きいていいですか?何で封鎖したか」

暫しの沈黙の後、傍にいたリョースアールヴが口を開いた。

「その昔、天使が人間界に降りて恋をし子供を身ごもらせたから、とでも言っておきましょう。これ以上は教えられません。他にききたい事は何でしょう」

どうやらこの事に関する詮索はタブーなようで、話題を違うものに誘導される。

「春鹿はまだ昏睡状態のはずです、死んでません。どうして星世界にいるんです」

「それは貴方のことを特別だと言ったように、春鹿もまた特別なのです。生きたままこの世界にいる…いわばイレギュラーな存在。天使でも悪魔でも精霊でもなく、魂だけがここに寄り添っている。どうしてかは私にも解りませんが、彼女にも特別な力が宿っているようですよ」

「それって春鹿にも超能力があるってことですか!?」

ソフィアさんは静かに頷く。

「ここへ最初にやってきた時、確信しました。彼女にはエンパスという人のオーラを読みとる力があります。そしてチトラーの星の影響を受けている。エンパスの力を持つ者は、自己観察という人間の本来持つ能力の部分が発達しているの」

そういえばと昔の記憶を辿ってみると、幼い頃よくみんなに色がついてるって話し出した事があった気がする。父さんも母さんも子供の言うことだからと間に受けなかったけれど。

「エンパスはそれだけじゃなく、人々の能力を育てる力もある。私は彼女にしか出来ないお願いをしました。この世界で封印された、"人間界にいる力を持つ者達"の源を捜してほしいと。貴方達と同じような能力を持つ人の子がまだいるのです」

仲間がいる事に少しほっとするも束の間。もしかしてこの展開はとある意味違う予知能力が働く。

「その者達と協力して、悪魔に憑かれた人間を見つけ出してください」


手のひらを頭に押し付け目を閉じていたが、意を決して向き直る。

「分かりました!よく分かんないけど。とりあえず悪魔封印のために仲間を見つければいいってことでしょ」

「いいえ、仲間を見つけ出すのは春鹿の役目です。貴方は貴方の世界で自然に仲間と出会う事になります。まさに春鹿の導きです。そして出会った後も貴方と仲間達の能力は日に日に増していきます。それも春鹿のおかげといえるでしょう」

「そうなんですか…。あの、春鹿が人間界に戻ってこれる方法はないんですか?一緒に活動した方が効率がいいかななんて…」

「…その方法は私でも知り得ません。ただ、星世界に生まれた天使と悪魔の魂がひとつになる(とき)、新たな(にくたい)となると言い伝えられてはいるのですが…。最も古い言い伝えでは、天使と悪魔は人間そのものだという説があります」

春鹿は天使でも悪魔でもない存在らしいのだからこの話は彼女には関係ないだろうな、と小さく溜息を吐くとともに内心で毒づいた。このエクスシア様は解っているのか解っていないのか、むしろ教える気などないのではないかと疑ってしまう。


「さぁ、もう時間ですね」

そうリョースアールヴが言葉を発した瞬間。

目を開けた俺の瞳が映し出したのは、見慣れたいつもの天井だった。

カーテンから溢れる朝日を遮るために両手を顔にもっていくと、違和感を覚える。左手の中指に見知らぬ指輪(リング)がはめられている。こんなもの買った覚えはないし、ましてやはめて寝た覚えもない。指輪といえば、そういうのに詳しい女子が言っていた気がする。中指は確か、ミドルフィンガーリングというのだそうだ。中心には石のようなものがついていて、よく見ると黄金色をした水晶のようだった。


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