交際日記
800字~1000字程度の短編です。
稚拙な文章でありますが、覗いていただいた方には感謝の意を伝えたいと思います。
お酒もしかり、賭博もしかり、とかく心の弱い人とは何かに溺れてしまうものなのですが、
それが私の場合は男でした。
夜の八時ごろ、有名なチェーン店がいそいそと並ぶ大きなアーケードを通り過ぎ、一本の橋を渡った先の公園に私は立っておりました。相手の男が指名した場所です。ネオンの輝くラブホテルが軒並み見渡せるこの公園を男が指名したのは、おそらく誰かに発見されるのを恐れていたからでありましょう。普段なら、真冬の公園で人を待つことなんて、私にとってはあり得ないことなのですが、この時ばかりは男に同意せざるをえませんでした。私にとっても都合がよかったのです。
しばらくすると、スーツ姿の男が現れました。少し生えかかった髭と、くっきりとしたほうれい線が特徴的な男で、年齢は、おそらくは四十前後といったところでしょうか。
「くみちゃんだよね? 若いなあ、女子高生って本当だったんだ」
「そうですよ。女子高生じゃないとこんなことできませんからね」
顔を上げると、ふと目が合いました。
ただそれだけで、私が女子高生だという事実に興奮していることが、いとも簡単に分かってしまいました。
「だけどやっぱり高いなあ」
そう言うと、男は自分の財布から三万円を取り出しました。しぶしぶといった態度でしたが、それでもしっかりとお金を払うあたり、やはり女子高生という価値は高いのでしょう。まったく理解できません。しかし、価値があることが分かっているのに、どうしてそれを利用しないことがありましょうか。
私はそのお金を受け取ると、すぐに男の腕を、力強く、しかしながら、儚さも残しつつ抱きしめると、
「今夜はよろしくね、お兄さん」
と、耳元で呟いてあげました。まったく、こんなことで意気揚々とするのですから、男というものは単純です。単純で愚かな生き物です。まあ、だからこそ私は男に溺れてしまったのですが。