表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/191

召喚、そして。

小鳥がさえずる、のどかな森の中。

その中を流れる小川のほとりに小さな子供と、そして小さな白い狐。


「ん…?ここ、は?」


先に目を覚ましたのは子供。

そしてその身じろぎに、狐も目を覚ます。


「んん…ここはぁ?」

「知らないよ。」

「ふぁーあ…なんか良く寝た。」

「お気楽ね…なんで子供?てゆーか髪の色もなんか変わってない?」

「それは良く分からないよ…そんな記述無かったもの。」

「あー、そう…で、この後どうしたらいいと思う?」

「んー…とりあえず…服?」

「だよねぇ。」


小さくなった彼女は元々着ていたキャミソールのみという服装だった。

そして真っ黒だった髪は、金から紅という不思議な色をしていた。


「所で…同じ名前じゃややこしくない?」

「そうだねぇ…」

「狐…玉藻?」

「タマモ?何それ。」

「私の世界の狐の妖怪の名前?」

「ヨウカイ?」

「魔物、みたいなの?」

「えー…魔物の名前なのぉ?」

「じゃチコ。」

「なんで!?」

「昔飼ってた猫の名前。」

「…仕方ない…魔物よりマシね。あなたは?」

「この際変えても良いかもねぇ。見た目変わってるし。」

「そうねぇ…ならアリーヤってのは?」

「えー…なんか私じゃないよー。」

「そう?」

「そんな可愛い名前みたいな性格じゃないわよ。」

「確かに。」


自分に頷かれ少々複雑である、と彼女は思った。


「でも可愛い名前の方がいいわよー。」

「うーん…」

「リオナ。それなら良いんじゃない?」

「ま、そうだね。じゃ、とりあえず…現状の把握からしていきましょうか。」

「ほぇ?」

「ほぇ?じゃないよ。今いる所の安全性、人がいる場所が近いのか、あと食べ物よね。魔物がいるから、いるなら戦う術。やる事はたくさんあるでしょ。住む所も必要なんんだし。」

「…同じ私なのに全然違うのね。」

「はぁ?」

「私そんな事思いもしなかったわ…」

「一体どんな生活だったのよ。」

「んー…お部屋で一日魔法書読んだりしていたかしら?侍女達が美味しいお茶を淹れてくれたりとか。」

「なるほど。世界が違えば同じ私でも富裕度が違うと分かったわ。」

「?」


半眼になりながらチコを抱き上げるリオナ。


「ま、これから運命共同体だし?別人だし。」

「そうね。よろしく、リオナ。」

「よろしく、チコ。」


そして彼女達は森の中を歩き出した。


「それで、ここはチコのいた世界じゃない訳?」

「ううん…ここだけじゃなんとも。」

「まぁそうよね。魔法書読んだりしてたなら魔法使える?」

「ううん。」

「は?」

「私達の世界の魔法の定義は。」


ひらりとリオナの腕から降り、チコは歩き出す。

それについて行くようにリオナも歩き出す。


「呪文無しに使うのが魔法。魔力をそのまま使うの。そして、呪文を用いるのが、魔術。…生涯で使えた魔術があなたと会ったあの魔術だけ。私は…魔力があるけど…それを行使する才能が無かったのよ…」

「…そう…」

「火を出したい、と思って出せれば魔法は使えるけどね。まぁ属性もあるし…」

「…」


チコの話しを聞き流しながら、リオナは自らの手を見つめた。


「リオナ?」


おもむろに、人さし指を天に向ける。

すると大きな火柱がそこから吹き上がる。


「ひゃっ!?」

「おお、出たねぇ。で、属性って?」

「リオナ順応早くない!?」

「まぁ良く言われる。」


同じ顔、同じ人間であっても。

その性格などは違うと実感した二人だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ