Working
俺達の事を、世間一般に「死神」と呼んでいる。
死神と聞いて、好奇心旺盛な少年は「かっこいい」なんて思うんだろう・・・。
「死を司る神」や「人を死に誘う神」なんて。
俺達の事なんて、何も知らないくせに、勝手な理想で勘違いしている。
実際に俺達に逢った奴なんて、死者ぐらいだ。
生きた人間の前に、俺達が出る事はない。
勘違いも、ここまで来れば面白いぐらいだ。
死神は元々、「神様」なんて拝められていた存在だ。
「大罪を犯し、堕落した神の成り行き」が俺達だ。
俺の場合、神の仕事をサボったせいで、憎悪の肉面をかぶった惨めな姿だ。
憎悪の肉面は、被った者の顔を喰らう仮面で、咎人の証でもある。
肉面の下にはもう、太陽神と謳われた面影はない。
俺達に残されているのは、死者を正しい在るべき場所へ案内するだけだ。
俺の顔を見る度、「地獄行きか・・・・。」なんて、嘆き悲観する。
初めの内は、笑いたいのを堪えて聞いていたが、さすがにもう飽きた。
地獄行きなら俺達を拝む事なく、閻魔大王さんに直接引きずりこまれる。
その時の恐怖した顔程、面白い顔はなかった。
物凄い曖昧ではあるが、心に病を抱えた魂は悪もなく善もなく、浄の力で洗い流される。
悪い魂は、地獄の業火で消えるまで焼かれる。
善い魂は、まだ俺が担当した事がないからわからない。
死神になった今も、俺は変わらず過ごす。
こんな仕事も、いい加減飽きてきた。
死神って、死ねるのか?そんな事まで、妄想する日々だ。
そういえば、死神になる前もこの事で、構想を膨らましていた。
太陽神として、優越感に浸ってるうちは良かった。
今も昔も、結局俺は面倒臭くなった。
俺は神様失格だな・・・・。