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秋の終月の二十九日
男子部が帰ってこない。
夕食の時間も終わってかなりたつのに、まだ連絡もないという。談話室に戻っても刺繍も手につかないし、玄関ホールの方についうろうろと様子を見に行ってしまう。
もう随分と遅いから、どこかで野営にしたのかもしれない。
ちょっとした事で手間取って、きっと遅くなっているのだ。きっとそうだとわかっていても、どうしても落ち着くことができない。
だってあの時も、あの盗賊退治の時も、帰りが随分遅れたのだもの。それで随分心配して、あの時は怪我人だっていたのだ。
お願い、早く帰ってきて。
せめて何か連絡して。
いいえ、連絡なんてどうでもいい。どんなに遅くなってもいいからみんな無事に戻ってきて。
心配しすぎでありますように。