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秋の終月の二十六日
朝から迎えの馬車が来て、レイラが帰って行った。今回はまた塔に帰ってくる予定だけれど、そんなに遠くないうちにレイラは本当に塔から出ていく。アリアもそう。
今までだって、出て行く人を見送ってきた。
女子部はたいてい結婚して出て行くものだから、毎年ベールの刺繍をしてきたし、毎年誰かを見送ってきた。
そして毎回ちょっと淋しいって思う。
でも、今感じている淋しさは、それともちょっと違う気がする。
これはアジャがいないせいなのかな。
私が次の新年で十八になるのも関係あるのかもしれない。
嫁ぐ一人が同い年のレイラなのも関係あるような気もする。
今日はなんだかそんなことで胸がざわざわしたせいか、修練が散漫になってしまった。試験も近いのにこんな事じゃいけないと思う。
もっとしっかりと平常心を保てるようにならなきゃ。