秋の終月の二十一日
足場はあまり良くなかったけれど、今日は朝から真面目に修練をやった。
昼からはエドウィンも宮廷から戻って検討会に参加した。
陛下のご容態は安定しているけれど執務に耐えられる程ではなくて、体調を崩した王太子殿下がやはり実務を担っておられるらしい。アマリエ様も心配して薬湯など煎じておられるそうだけど、まずご無理ばかりなさっているので中々軽快しないそうだ。
「兄上はご無理が過ぎる。」
エドもかなり心配しているみたいで、なんとか手伝おうとしたみたいだけど、試験準備があるのだからと無理に塔に戻されたらしい。
そんなわけでエドは、何が何でもこの一回の試験で上位資格をもぎ取るのだと、決意しているようだ。その決意は立派だけれど、今日に関しては焦って空回りしているように見えた。
正面から指摘するよりいいかと思ったので、アジャの花茶と花の砂糖漬けを出した。思ったとおり鎮静効果があったみたいで、ちょっと落ち着いた。
アジャの花にはそもそも鎮静効果があるんだけど、エドにはその名前が効く。あのちょっと変わり者の友人はエドの煮えた頭を冷ますのには一番だ。アジャ本人のせいで煮詰まってるとき以外はという話だけど。




