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秋の終月の二十日
また雨。こんなことなら昨日無理しても修練やっとくんだったかも。でも、足場が悪かったしなあ。でも、そんなこと言ってたら明日もできなさそう。
せめて呼吸法は念入りにする。
今日もエドは宮廷。
急に冷えだしたから王太子さまが体調を崩されているのかも。
今までにもそういうことはあった。
検討会の間にリリーナが栗の砂糖煮を作ってくれていた。外がカリッと飴になっていて、中はホックリ柔らかくておいしい。
「なんだかこういうの作りたい日だったんですよね。」
その気持ちはちょっとわかる。
寒くって、雨で、冬が近くて、たしかに今日は炉辺でコトコト何かを作りたくなる日だ。
それでそうやって作った甘いものをつまみながら、みんなで手仕事なんかする気分。
なので今日は気合を入れてベールの刺繍をした。
日が暮れてからあめがやんだ。
明日は足場のいいところをさがして修練をしよう。




