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秋の終月の十五日
夕食後今日もみんなで刺繍をしていると、窓から満月が見えた。
そういえば今日は十五日だ。光の宴からは一ヶ月たったことになるし、昇級試験まではかっきり一ヶ月しかない。
マリーダが光の宴の晶灯のリボンを一本引っ張り出して、談話室の天井に張ったのはとてもいい思いつきだった。明かりをつけると談話室の中は昼を欺く明るさだ。くつろげるかは微妙だけど、確かに刺繍をするのは楽になった。
基準の模様をつけたベールは裾側から全体の刺繍を進めている。リリーナはまだ練習中だけど、イリアはすでにベール組に入ってくれている。とにかく薄い布なのですごく気を使うし、ゆっくりしか進められないから大変だ。
試験勉強だって手を抜けないし、それが終わったら新年の支度もあるし、気持ちばっかり焦って困る。




