秋の初月一日
ついに秋になってしまった。感謝祭の秋。
塔主様もアマリエさまも、ついでのようにエドまで宮廷に詰めて戻ってこない。
陛下のお加減はかなり芳しくないようで、収穫や税のことで忙しいこの時期、みな王太子さまを支えるために働いておられるのだ。
陛下の枕べには寵姫スレイアさまがずっと詰めておられるらしい。
陛下の王子は三人、王女が一人。
一番上が亡きリアーナさまの産まれた王太子アルフレッドさま。
二番目が塔主さまの産まれた第二王子のエド。
三番目の第三王子ヨセフィンさまと末の王女アルテシアさまを産まれたのが寵姫スレイアさまだ。
大貴族ヴォルマーグ家の姫君であるスレイアさまはリアーナとして立てられることを熱望しておられるけれど、いまのところその沙汰はない。きっとそんな沙汰は下りないだろうと思う。もしもスレイアさまがリアーナになれば、つぎはヨセフィンさまの即位を画策する。スレイアさまという方はそういう性格なのだそうだ。
そんなわけで感謝祭はなんとか塔に残っている者だけで頭をひねらなくちゃいけない。
晶灯を使う案と、炎を使う案について検討中。
晶灯は数がいるのと、暗くなったら明かりがつくような細工が可能かどうかが難しいところ。
炎を滑らせて用意したロウソクに火をつける案は、やっぱり数がいるのと炎が変なところに滑らないように気をつけるのが大変というところだろうか。
晶屋についてルイにでも一度問い合わせて見ようと思う。