秋の終月の十日
今日も基礎のおさらいと検討会。
結局できる事って、これしかない。
エルの案とエドの案が不思議にぶつかるのは面白いと思う。
そういえば今日は珍客があった。兄が来たのだ。
最近は領地に引っ込んでることが多かったのに、珍しい。
兄は土産だと言って、アジャ蜜とか花の砂糖漬けをたっぷりくれた。
仕方ないのでお茶を入れてあげた。
私とマリーダのお茶にはアジャ蜜をたっぷり落とす。そういやこのお茶ってアジャも好きなんだよね。
マリーダも同じことをおもったみたいで、「なにやってんのかね。」とか呟いていた。
兄は王太子様と同年で、塔の学友なんだけど、手が足りないというので招集を受けたらしい。たぶんエドが試験のために塔に戻ってる影響もあるのだろう。
エドもそこに思い至ったようで、ちょっと兄に謝っていたけれど、兄はちょうどリリカスが気になっていたからと答えていた。
地方にもいろんな噂が流れてきているそうだ。
詳しく聞きたかったのだけど、明日もお茶の時間に顔を出すと言って帰っていった。
一体どんな話が地方にまで流れているんだろう。
エルというのは王弟エドウィンの乳母子エルドレイのことです。
エリシアの兄はグラフィンという名前で、グラフと呼ばれることが多いです。
妹がリアーナとなったあとも中央にはあまり出ず、地方から王権を支えました。




