74/407
秋の終月の六日
今日は塔で普段の課業をしたので、朝はエドと顔を合わせた。
一応昨日聞いたことを耳に入れると、
「兄上はまだご結婚もなさってないんだぞ。なんでそうなるんだ。」
と首を傾げていた。
どうやら養子がどうとかいう話自体知らなかったらしい。エドは決して目配りできない人間じゃないんだけど、たまにこういう事がある。死角ができやすいというか。
国の大局を掴むぶん足下が疎かになりやすい。
今は特に王太子さまのお手伝いを本格的に始めたところだし、どうしても抜けるところは出るのだろう。
私は逆に宮廷の目配りは結構得意な方だと思う。
だから自分でも女官は向いてるとおもっている。




