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秋の中月の二十九日
今日も中庭で呼吸法から一通りさらっていると、エドが来た。
「なんでいるの?」
ちょっと驚いて、思わず声をかけてしまった。
ああ、もう、一からやり直しだ。
「そりゃ、昇給試験の準備あるし。」
そう言うとエドも呼吸法をはじめた。
「受けるの?」
始めたばかりの呼吸法をエドが中断する。
「今回逃すと、もう受けられんかもしれないから。」
そうだ。エドが忙しいのは今だけということはない。王弟としての仕事も責任もこれからますます増えるだろう。
エドの今の階位は中級中位。受験するのは私と同じ、中級上位の試験だ。
エドと一緒に呼吸法からさらう。
男子部と女子部に別れてしまっているから、エドと一緒に魔術の訓練をするのは久しぶりだ。
もっと小さい頃はいつも一緒にやってたんだけど。
エドと私とエルドレイと、時々レティシアと。
途中からは離宮でアジャも一緒に。
いつの間にかお互い大きくなっちゃったんだなあとしみじみ思う。




