夏の終の月二十八日
マリーダが髪飾りの試作品を仕上げた。
鳥の羽を花のようにまとめた中心に木滴を留めて、さらさらなる貝殻の飾りが下がっている。髪に挿しても帯飾りにしても良さそうだ。
他のみんなからも好評で、すぐに人数分の八個を作ることにした。
わたしとマリーダとアリアと、レイラとイリア。それからアジャが出かけてから入ってきたリリーナで六人。あとはアマリエさまとアジャで全部で八人。
ほかの女性魔術師はもう世代がまるで違うので、数に入れない。
好みの羽や貝殻を使うと、同じ作りでも違いが出るのも楽しい。
マリーダのは大人っぽいし、アリアは結構かわいい。一番年下のリリーナは大人しい感じ。
アマリエさまにはマリーダの作った試作品をまわして、アジャの分は私が作った。
鮮やかな赤い羽根に明るいオレンジを添えて、貝殻は淡いピンクからオレンジへのグラデーション。
「朝日が零れているみたい。」
言われてみると確かにそんな感じ。
「今頃どこでなにしてるんだろ。」
マリーダがぽつんとつぶやいた。
アジャがいないと不思議にさみしい。
これでアリアまでいなくなったらどうなるんだろう。