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春の終月の七日
マリーダやイリアと一緒に塔主さまに呼び出された。
何かと思ったら、アジャがマリーダに託した情報の件だった。
アジャがよこしたのはかなりの量の覚書で、「蜂」に関する研究やザヴィータ潜入時のレポート、各地で印象に残ったこと、会う機会のあった王族、有力者、上級魔術師などの人物評など多岐にわたっていた。
文書の他には神威で入手した各種衣類があって、これはこれで興味深かった。特に神威の刺繍がとても写実的なのには驚かされた。花なども、摘み取った一輪をそのまま布の上に置きでもしたかのように縫い取ってある。
この方法でドレスの裾模様とかを縫ったら、まるで花を散らしたように見えそう。
塔主様は必ずしも読みやすいとは言えないこれらの覚書を、整頓してわかりやすくしてほしいと仰った。
確かにそういう作業には、アジャをよく知る私達がいいのかも。
ただ、新入生の教育の間を縫うことになるし、内容は口外できないので、かなり忙しくなりそうだ。




