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春の初月の五日
今日も宮廷の手伝いをした。
王太子府でエドが書類と格闘していたので、お茶をいれてあげた。お茶はアジャの葉茶だ。
カップに注いで差し出すと、香りに反応したのか振返った。
「あれ? エリシアいたっけ?」
いや、今日は朝からいるけどね。
もっと言えば昨日もいたけど。
譲位の話がかなり本格化してきているようで、仕事がとにかく増えているらしい。
エドはお茶をニ杯飲む間だけ書類から離れて、それからすぐに戻っていった。
他は昨日と同じように、書類を届ける仕事が多かった。