秋の初月十二日
紹介された魔術師をアイラ様に確かめていただいた。まあ、踊り手の依頼ならそれほどこだわらなくてもいいと思うんだけど。
アイラ様も同じ意見でむしろ手広く依頼したほうがいいだろうという。踊り手なら本人の名前も出るし。
振り付けは中級資格を持つゼルリッター夫人に頼んでくださるそうだ。ゼルリッター夫人は踊りの名手として知られているから、きっと素晴らしいものになるだろう。
何もかもがギリギリなので、アイラ様にも他の協力して下さる方々にも、本当に申し訳ないと思う。本当ならこんな事はアジャが旅立ってすぐに考えておくべきだったのに。
我ながら色々考えが足りてないなあ。
夕方から、試作品の衣装を抱えてゼルリッター夫人を訪ねた。
アイラ様から話は通っていたようで、すぐに会って貰えた。
「なるほど、面白いことを考えついたわね。踊り手はもう決まっているの?」
宮廷楽師長から紹介されたされた名前をあげるとうなずく。
「私から声をかけるわ。明日にでも塔にいくから話し合いましょう。衣装は預かってもいい?」
喜んで衣装を預けた。
ルイからはさらに大量の晶灯が届いた。
きっとなんとかなるはずだ。