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冬の終月の十八日
風邪の召喚精霊は羽虫とよく似た形状なのだそうだ。召喚精霊の寿命はそれほど長いものじゃないし、風邪の流行が収まっているところから見てもたぶんもういないだろうけれど、仕掛けられやすそうなところをチェックすることになった。
鏡や水晶などがまず怪しいそうで、宮廷を手分けして確かめた。女子部が担当したのは女官詰所や王太子府の一部だ。驚いたことに小さな水晶や鏡面になった飾り物などがいくつも見つかった。
羽虫なんてどこにでもいるし、もしもこれらのどこかに仕掛けられていても気づくことはできないだろう。幸いというか、もう仕掛けられているものはなかったけれど、いくつか怪しい気配の残るものがあったので回収した。
途中、スレイアさまのサロンに行く途中らしいザヴィータ大使夫人を見かけた。
証拠さえみつかれば、リカドから叩き出してやるのに。