169/407
冬の終月の十一日
リリーナが実家に戻った。
塔に入って初めての宿下がりだ。二三日ゆっくりしておいでと送り出した。夏至以降やけに忙しかったし、親に元気な顔を見せてくるのも大切だと思う。新年の衣装の仕度だってあるのだし。
イリアも親に仕立て屋を呼んでもらうそうで、明後日、日帰りで宿下がりをするそうだ。私も今年は到底自分で縫ってはいられなさそうなので、昼すぎに宮廷で兄を捕まえて手配を頼んだ。
アジャからの返信は深夜にあったみたいで、今日は朝から何度もやり取りをしていた。
ただその内容を私がうかがい知る事はできない。
随分重要そうなのはわかるんだけど。
兄もわかっていないというか、そういう動き自体を知っていなかった。宮廷ではよほど隠されているらしい。