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冬の終月の三日
アリアが荷物の整頓のために実家に戻った。明後日帰ってくるそうだ。
変な話だけど、夕食の席が急に寂しくなった。
アリアは自己主張の強いタイプではないんだけど、いないと気づかずにはいられないようなところがある。自己主張という意味ではアジャなんか相当だし、マリーダも目立つ方だ。
たしかに外見でいうと長身巨乳のアリアは目立つけど、たぶんそれだけが理由じゃない。
もう少ししたら、これが当たり前になる。
たぶんこの状態に慣れる前に、新しい住人が塔にやってくる。
わかってるんだけど、人の入れ替わりなんて毎年あることなんだけど、慣れたり流したりするのは難しい気がする。
そもそも私だって、夏を過ぎてここにいるのかはあやしい。
王宮だからごく近所ではあるけれど、女官になったら女子部ではなくなる。
自分が去る側になる時はどんな気持ちがするのだろう。