冬の中月の十五日
朝から全員で呼吸法をおさらいした。
基本の術も順にさらう。
それから衣服を改め全員で、塔主さまのお部屋に向かった。
このお部屋で塔主さまにお目にかかるのは久しぶりだ。
レイラが進み出て暇ごいを申し出る。
塔主さまが静かに、女子部の所属を解く宣言をあそばされ、さらにレイラはリリカスの魔術師であることを宣言される。
そうだ、レイラはリリカスの魔術師なのだ。たとえ異国に嫁いでも。
私たちは手を取り合い、自分たちがこの上ない絆に結ばれた塔の姉妹であることを確認する。
夕方、迎えの馬車に乗って、レイラとマリーダが出ていった。
レイラの部屋は前の里帰りのときに随分荷物をへらして、もともとがらんとしていたけど、本当に何もなくなってしまった。
新年になれば新しく女子部に入る子がこの部屋を使うことになる。
こんなことは毎年あることで、結構慣れているはずだけど、毎回淋しい。特にレイラは外国に嫁ぐので、行ってしまえばもうなかなか会えないだろうとわかっているからなおさらだ。
ずうっと忙しかった刺繍も終って、ちょっと何をしたらいいのかわからない気分。
もちろんそんな訳はなくて、次は新年の準備があるんだけど。
今日は夕食の席も静かだった。