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冬の中月の十二日
厨房のそばを通りかかったら、ぶら下げた鹿二頭に香辛料やら蒸留酒やらを塗りつけていた。かなり本気な熟成のさせ方だ。これはローストになりそうな気がする。
今日も刺繍に励んだ。
もう仕上がりが見えてきている。
細い糸で刺繍した細かい模様はふんわりと花嫁の姿を隠してくれるだろう。
アリアの帽冠は今日仕上がった。すぐに仕立てに出すそうだ。
アリアらしいとても繊細な刺繍だ。
この帽冠に合わせて恥ずかしくないベールでなくっちゃいけないんだから、最後まで手は抜けない。