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冬の中月の十日
夕食後の談話室でレイラが、マリーダに付き添いをしてほしいと言い出した。
レイラにはすでに母君がいないし、姉妹もない。伯母や従姉妹はいるそうだけどちょうどいい人がいないそうで、女子部でアマリエ様を除けば最年長のマリーダに頼もうと思い立ったらしい。
今月の十五日には実家に戻り、来月早々には婚家に向かうそうで、結婚式までの付き添いがいないのだそうだ。
もちろん、それはそうするべきだ。
レイラを一人では生かせられない。
マリーダもすぐに承諾したので、塔主さまにお願いして、マリーダの実家にも知らせて貰おうと言うことになった。花嫁の付き添いをつとめるのは名誉なことなので、多分大丈夫だと思う。
それに、付き添いをつとめている間はマリーダに縁談が起きたりはしないだろう。
宮廷がこの状態では、お母さまの手配もまだ整ってはいないだろうし、ちょうどいい。
塔主さまは朝の内に宮廷に戻られたけれど、アイラさまとロイドさまは書庫でまだ何かを調べておいでだ。ロイドさまがおられるということは、今回の風邪と関係ある事なのかも。