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冬の中月の五日
国務大臣夫人の葬儀が明後日に決まった。
風邪のさらなる蔓延を防ぐため、当日の国務大臣邸には塔から人員を送って、病の浄化や結界などの対策を行うことになった。
流行病の折なので、基本的には手紙のみでの弔問ということになっているけれど、それでも人の出入りは増えるし、親しい人は直接弔問に来る者もいるだろう。
何と言っても風邪なのだ。
国務大臣夫人以外には死者も出ていないし、手紙のみの弔問を徹底させることは難しいだろう。
王太子さまの病状は落ち着いたそうだが、なにせ熱の長引きやすい風邪なので、大事を取るようにはなさっているそうだ。
兄も動いているみたいだけれど、細かいことまではわからない。
エドもまた、宮廷に詰めっぱなしになっている。
やはり王子であるエドの存在は、ただの臣下とは重みが違うし、王太子殿下の代理として誰よりもふさわしい。
レイラとアリアがそれぞれ帽冠の刺繍を仕上げた。
アリアのベールも頑張ろう。