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冬の中月の四日
国務大臣夫人が逝去なさった。
今回の風邪は熱が長引きやすく、長々と寝込む者が多いが宮廷での死者は初めてだ。
寧ろ長引くところに特徴のある風邪だと言ってもいいと思う。
熱が下がったと起き出すと、また急激に熱が上がる。
忙しい者ほどつい、起き出して長引かせやすい。
結果的に普段仕事をしていない者ばかりが仮の宮廷を構成している。ただの風邪と侮って事態が長引いてしまった気がする。
長引くだけの風邪だから、正式の引き継ぎもせず、役職の交代も正式の代理をたてることもせずに来てしまった。
代理にたっているものもちょっと判断に迷うと病床に赴いて意見を聞いてしまいがちなので、判断も遅くなる。
塔は幸いにも完全に機能しているけれど、あちこち揺らいでしまっているのがわかる。
実際、御譲位の話も宙に浮いたままだ。
やっぱりなんだかもやもやする。