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冬の初月の三十日
風邪の件はやはり塔が調査に動くことになりそう。
兄が調べたことを途中経過という形でだけど、王太子さまに上げたそうで正式に塔に話が来たらしい。
女子部、男子部は取りあえず薬の確保と製造に専念することになったけれど、何人か魔術師が動き始めている。中心になっているのは上級魔術師のロイド様みたい。ロイド様は医療系魔術の研究者だからだろう。
調査が速やかに進むといいと思う。
国務大臣夫人が危篤という話もある。
社交上手で大臣の影の右腕とも言われている夫人なだけに、持ち直してくださるといいのだけど。
明日、男子部はまた薬狩りに出るらしい。
確かに薬草の損耗が激しいのだけど、これ程頻繁なのは流石にめったにない。盗賊がいなくても獣の害を受けることもあるのだし気をつけてほしい。
ベールは相当に進んだ。
私たち、きっと刺繍で食べていけそうな気がする。