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冬の初月の二十九日
昨日は痛みはひいたかと思っていたけど、アリアの火傷は結構痛んでいるような気がする。
腕の動きもよく見ると良くないし、傷は妙に紫ががっているし。
薬草だけじゃくて術も込めた飴だったから、ちょっと怪我の程度がひどいのかも。薬草の湿布と治癒の術で様子を見ているけど手強い。
もう、さっさと処置すればきっとこじれなかったのに。
夕方に兄が色々差し入れに来た。
今、城の下働きの風邪の罹患率について調べているそうだ。明らかに数が少ないらしい。女官は病欠率が上がって困っているのに下働きになんの問題もおきていないのを不審に思わなかったのは失敗だったとぼやいていた。
誰かの意図があるのだとしたら、対抗処置には間違いなく塔が動くことになる。
取りあえず、ベールの刺繍は大急ぎで進めておこう。