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冬の初月の二十四日
随分と寒くなった。
みんなで談話室で縫い物をしていても、足下から冷えが忍び寄ってくる。
暖炉はもちろんたいているし、火の側は暑いぐらいだったりするのに、暖炉と反対側はひんやりとしているのは、毎年の事でも変な感じだ。
アジャはよくこんな時は、ゆるい風を天井におこして、熱気をまわしたりしてくれていたけれど、同じことを私がするのは無理だと思う。
あんなデタラメな魔力の使い方ができるのは、申し子のアジャだからこそだ。晶炉や晶灯みたいに込めた魔力を一定の量で風に変えるような仕組みでもあれば別なのだろうけど。
今日はみんなで頑張ったので、かなり刺繍が進んだ。レイラのベールはもうあと少しだ。