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冬の初月の二十二日
マリーダに女官になりたいと打ち明けられた。
女官は結婚してから婚家の名で出仕するのが普通なので、母に縁談の世話をお願いできないかというのだ。マリーダに来ている縁談には出仕できそうなものはないらしい。
ちょっとびっくりした。
縁談を自分で頼みに来るというのはいくら友人でも相当に珍しい。縁談というのはどうしても家同士のものだし、本人に意向がある場合は親に頼んで、親が動くのが普通だ。
確かにマリーダの場合私の方が(そして女官長である私の母のほうが)マリーダ自身の親よりも手近にいるけれど、それでもこの行動はそれなりに勇気がいったと思う。
それで、考えた結果母に頼んで見ることにした。
だって、条件がいいのだ。
すごくやる気があって、若くて、中級上位の資格があって、手先が器用で、センスもあって、しっかりしている。
ぜひとも女官になっていただきたい。
私も出仕する予定だし、同僚にマリーダがいるとうれしい。
明日にでも宮廷に出かけて母に頼んで来よう。