冬の初月の十六日
目が覚めたら昼だった。
ものすごく眠ってしまったみたい。
慌てて談話室までいくと、やっぱり起き抜けらしいマリーダが、もそもそと軽食をとっているところだった。かなりお腹が空いていたので、私も仲間に入れてもらった。
他のメンバーはすでに刺繍にいそしんでいる。
誰が用意してくれたのか、セノのサラダまである。さすがに若葉ではなかったけれど香りも高いし甘みもあった。そろそろ探し出すのは面倒だったはずだ。
それから鴨の燻製とパン。当然の流れでパンにカモとサラダを挟んで食べた。お茶はさっぱりとしたアジャの葉茶。
食べているうちにちゃんと目が覚めてきた。
試験は終わった。
結果はともかく終わったのだ。
もちろん一番大事なのは結果だから、そこはとても気になるんだけど。
軽食を食べ終わってからは私も刺繍をした。
変な時間に結構ガッツリ食べてしまったせいか、夕食はあまり食べられなかった。
セノは川辺に生える野草です。年中食べられますが、冬にはかたくなり香りも落ちる事が多く、好まれません。
独特の青い爽やかな香りと、仄かな甘味のあるさっぱりとした味わいは夏に特に濃くなり、春先は苦味のある若芽を楽しむことができます。