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冬の初月の四日
予想どおり、薬材の処理におわれた。
ただ予想外だったのは、アマリエ様がわざわざ戻って調剤を手伝って下さったことだ。
しょっちゅうスレイアさまにお茶に呼ばれるのが煩わしいのだそうだ。要は逃げてきたらしい。
スレイアさまは身分的には単なる侍女なので、塔主様や王太子殿下、エドなんかを招待すると、許しのない限り臣下の礼をとらなくてはいけない。アマリエ様にならその必要はないので声をかけやすいらしい。相手が忙しいとか疲れてるとかはわりと考えない方なのだ。
しかも養子がどうとか言う噂の発信源らしいので、アマリエ様としては極力近づきたくないという。
スレイアさまは仮にも王子、王女の母ともあろう方なのだから、もう少し考えて振る舞ってほしい。