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選択死


葉山 龍也 1 []


それを見た瞬間僕は、すぐに四角にチェックを入れる。が、


〈他人物です。所有権を取得せれていません。資産としての支払いは無効です。〉

〈他人物です。所有権を取得せれていません。資産としての支払いは無効です。〉

〈他人物です。所有権を取得せれていません。資産としての支払いは無効です。〉

と、何度チェックを入れても支払いが実行されることはなかった。


「クソッ、クソクソクソ、くそがー!」


一瞬この世から最も消したい奴を消せると期待したがそれは無駄になったようだ 。


そして消すことのできない 「葉山 達也」のページはめくれ、次のページに変わった。


そこには・・・



高石 悠 全身体毛 (髪、眉毛、睫毛、髭、etc) 1(セット)[]



「・・・なんだ、このふざけた選択は?」


呆れながらもこんな物で力が手に入るならと。

僕は、チェックを入れた。


・・・ブチッ・・・


ブチッブチッブチッブチッブチッブチッブチッブチッブチッブチッブチッブチッブチッブチッブチッブチッブチッブチッ


と全身から毛を引き抜かれた。


「イッ、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い・・・」


と痛みが全身を襲う。


抜かれたのは一瞬の筈なのに、抜かれた毛全ての記憶が頭には残っている。

まるで丁寧に一本づつ抜かれ、痛みで麻痺を起こすことなく痛みに晒されたようなそんな錯覚を起こしていた。


そして僕の回復を待たずにページがめくれ次ぎのページに変わった。

「は、ははは、は・・・次ぎは、これ?」



高石 悠 生爪 20 (セット) []



「・・・なん・・・なんだよこれ!・・・支払えば一体どんな力が手に入るっていうんだよ!?」


だがその叫びに答える声は聞こえてこなかった。・・・・



「わかったよ支払えば、支払えばいいんだろうが!!クソッが!!!」


そしてチェックを入れる。


・・・ポトっ、ポトっ、ポトっポトっポトっ・・・


と20枚の生爪が剥がれ落ち消えていった。



「ア"ッ、アッーッ、、、ア"ッツ、イ 、あ、熱い・・・ あーーハァアー」



と、指先の痛みと、熱さで力が入らずその場で蹲ってしまった。


そしてゆっくり手足を見てみると、爪は綺麗に無くなり一滴の血も流れておらず剥がされていた。

足に手に力が入ると剥がされた時の痛みが蘇る。


「イッ、つ。はぁ、はぁ、こんなんで力なんか手に入るのかよ?」


〈□□□(悠)への支払い確認。能力「身分証明」が解放されます。〉


「ハッ、ハハハハ。なんだかわかんないけど力が手に入ってる。 ハハハ。僕は!強く、強くなっているんだ!!ハハハ

次ぎは何だ?ハハ今度はどんな強さが手に入る?ハハハ・・・ハ?」


僕が笑いながらリストを見ていると次ぎのページへと変わった。


もうどうでもいいと。何が来ても力になるならと・・・思っていた。

思っていたのに・・・。


「ふざ!!ふざけるなーー!!!」


と僕の叫びだけが響く。

そう、リストには。


高石 悠 良質永久歯 30 (セット)[]


高石 悠 良質眼球 2 (セット)[]


高石 悠 良質舌 1 []

高石 悠 良質鼓膜 2 []

高石 悠 良質嗅上皮(嗅球、嗅細胞、嗅神経、、etc)1 (セット)[]

高石 悠 良質血液 50(セット)[]

高石 悠 良質脊髄 1 (セット)[]

高石 悠 良質 腎臓 2 (セット) []


と続いていた。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




僕はわめき散らした。


「こんなもの、支払う訳が無いだろう!!」


ーーでも僕は気づいていた。


「誰がこんな選択に騙されるか!!」



ーー喚き(わめき)ながらも冷静に



「なんの意図があってこんなことをする!!」


ーーー誰もいないこの説明のつかない空間なら。



「歯だと!眼球だと!!血液だと!!」



ーーー説明のつかない事が起こりうる


「それを支払ってどんな力が手に入る!!」



ーーー現にもう十分に起こっているのだから。



「だいたいこんなもので力が手に入るのか!?」


ーー手に入る。


「これを支払ってしまえば確実に死ぬじゃないか!!」


ーーー恐らくは選択されたものを失っても死なない。


「力が手に入っても使えなければ意味がない!!」


ーーー死ななければ得た力は使える。


「その力は僕に必要なちからなのか!!」


ーーーここを逃せば二度と手に入らない力だ。


「アーー!!アァ、ア"ー」


ーーーもう答えは出ている。


「グッ、・・・はぁはぁはぁ」


ーーーなのに喚いているのは。


「・・・・・・・いやだ・・・・・・

痛いのは嫌だ!!」


ーーーそう選択する答えは出ている、選択をしない答えも出ている。


「嫌だ嫌だ嫌だ・・・」


ーーー単純な恐怖。


「・・・・・・」


ーーー・・・・・・・


「・・・わかった。わかったよ。

ああ選択の答えは、最初から決まっていたよ?

なんだよ、、、最初からこの選択肢に選択なんか無いじゃ無いか・・・」



そして僕は剥がされた爪の無い指で全ての欄にチェックを入れた。


「これが!望みか!!これで!満足k、、、、」


言い終わる前に僕のこれまで以上の最も長い一瞬が訪れた。



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