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終わらない、プロローグ

お金とは不思議な物だ、あれだけ働き回り母さんを失い、もう立ちあがる力も出ないをと思っていたのに、母さんの保険金で借金を完済したとりさせられると少し、少しだけ体が楽になった。


それから僕は、高校へ通うことになった。学校の学費と制服だけは父に出してもらいその他の文房具や教科書類、靴に至るまで自分のバイト代から出している。弁当までも自腹だ。


そうでもしないと何のために、何の為に自分を、時間を犠牲にしたかわからない。

そんな学校生活で僕は、いままでには無かった、過剰ないじめが始まったのだった。






高校に通い始めて一年が経った今日、僕は二年生に上がる。


僕は、いつものように下駄箱の前で鞄から上履きを取り出し、履いていた靴を持って来たビニール袋に入れ鞄につめる。


これは高校に入って一年の間でエスカレートした、いじめのせいだ。

そう・・・僕の下駄箱はもうすでに無い。


上履きを隠される捨てられるこんな事ではこうはなら無い、そんなのは最初の頃だけだった。それからそれは次第に度を越して行った。 


下駄箱のふたはいくら直しても金具が壊されゴミを入れられゴミ箱代わりにされた。時には動物の排泄物や死骸を入れられる。そんな事が続いたせいで異臭がすると下駄箱を完全に釘でうちつけられ開けられなくなった。


もう犯人を探すとか言う話じゃない、人間として異常だ 頭がおかしすぎる


学校側も最初は犯人を探したり全校生徒に注意をうながしたりしていたが、だんだん対処できず放置するという形になった。多勢に無勢だから、「時間が解決してくれるから」、「学校にこれ以上何が出来る?」そんな答えが返ってくる。


それからだ、僕に対するいじめ全般を放置するという形になってしまったのは。 


しかしその異常性はまだまだここからだった


階段を上り僕はそんな奴らのいる教室に入って行った。


僕が教室に入るとさっきまでうるさく騒いでいた生徒が静かになる

そして、今の(・・)いじめの首班が話しかけてきた


「よう~!悠~いつもお前は元気ないな~ 今日から新しいクラスだろ~!挨拶ぐらいしろよな~」


葉山 健司そう中学までの腐れ縁。朝から馬鹿話をする友達。唯一事実を相談した友人。そして一番力になってくれると思っていた親友。そんな関係だった、男・・健司だ。


「あ!そうそう~これ、おまえにプレゼントだ悠はいつも金なくて大変なんだろ??ほら~!」


そう言って健司が渡してきたのは弁当箱だった。その中身・・・


「ほら~お前の母ちゃん料理うまかっただろう~だから思い出してもらおうと思ってさ~ だから」


健司は弁当のふたを取った。・・・そこにはもぞもぞど動く白い塊だった


「食えよ!」


弁当箱のまま顔面に押し付けられた


「これ作るのにすごい時間かかるんだよ~ なんせ・・・ゴミ捨て場に14時間放置して作ったらしいからさ~ ァハハハハハ」


俺は大した抵抗もせずに箱ごと押し付けられたウジ虫入りのおにぎりを口に入れた


「「「「キャー」」」」 「「「うぇ~」」」 「「「マジかよ」」」


教室中から悲鳴が鳴り響いた


「フフ いや~いつもながら腹が減っていたんだね~喜んでくれてうれしいよ~でもさ~ …この臭いはやばいだ・ろ!」


健司はそう言って僕の腹をおもいっきし蹴りあげた


「うっ!」


そのまま僕は入ってきた廊下の方に飛ばされた


「ちゃんと食べたら 歯を磨こうね~悠~」


そういって健司に教室のドアを閉められた そして


「マジかよ普通食う?」 「今日から同じクラスだろ?」 「キモ」 「あれはないな」 「なんか俺達も考えようぜ」 「クラス行事みたいなもんだろ?」 「ハハハハ」「キャハハハ」


(ギリィ)歯を食いしばる音 

(くそっ!くそっ!くそっ!死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね)


「・・・ハァ~どっかで勝手に死なないかな」


頭の中でいくら念じても 現状は変わらない 誰も助けてくれない 

変化もない 毎日頭の中であいつらが   


どうすれば苦しんでくれるかだけを考えていた


(あいつらのすべて奪い吸い尽くして何も残らないように、すべてを巻き込んで不幸になって死んでほしい


どうすればいい?


どうすれば


・・・あの人のようになれる?

ああ、あの人のあの力がほしい!


人間を紙一枚で 金も時間も自由さえも奪える力が! 人を従える力! 

あの力が欲しい! あの力が!)


そんなふうに何も変わらないことを知りつつ僕はそんな力を願っていた。


自分を陥れた力・・・契約の力




狂い始めた学生生活、たった一年でこんなにも変わってしまった。


そもそも僕が、いじめられるようになったのは高校の入学式、その日から始まった。


高校は、近場の学校ではなく、名門とまではいかないが、今の僕がギリギリ入学できる偏差値の学校に行くことにした。

高校からはきっと、変わる、中学のときみたいな失敗はしないと、そう思い決めた学校だった。


そんな入学式の日、僕は健司と再会した。


健司とはあんな事があってから、クラスも離れ疎遠になっていき、会う機会もなくなっていた、

今の自分のことや母さんのこと進学のことも話すことが出来なかった。


だから健司の姿を見つけて僕はうれしくなり、できるだけ昔のように声をかけた

「よっ健司!久しぶりだな一緒の高校だったのか」

「お~!悠~! 久しぶりだな~今までどうしてたんだよ~」


健司は相変わらずだった、中学から変わっていない健司がいた。うれしかった、また中学のあの頃みたいにのんびりとした普通の時間が戻ってくる。


それから僕は今までのこと母の事

これからどうするのかなどを話していった。


「ハハ、悪かったなこんな話急にさ。」


「なんだよ~水臭いなお前は~、一人で何でも背負いすぎなんだって~。これからはさ~何でも相談してくれよ~」


そんな事を話しながら僕等は久々にゲーセン、カラオケに繰り出した。


健司と居ると、あの頃の普通の時に戻って行くような気がした。 


だいぶ楽になった僕は家へと帰り、これからは前みたいな日常に戻れるのかな。そんな事を考えていた。


そんな日から数日がたった日、バイトからの帰り道、望んでない奴らと再会した。


「えっ?!あれって」


それは中学時代に僕をいじめていた先輩、その一人だった奴しかも一緒にいるのは、忘れもしないあの借金取りだ。その二人がいっしょに並んで歩き路地の方へと入っていった。


「なんでふたりが?なにをしてるんだ?」


その二人を追って路地に入ると、そこではなんと、先輩があの借金取りに土下座しながら謝っている姿だった。


「すいません親だけは勘弁してください!!必ず必ず返しますんでお願いします!」


「君の親御さんの事は僕らも分かっているんだよ。素直に払ってくれる所に行くしかないんですよ、あなたでは払えないでしょ」


ほとんど感情の乗っていない声でそう言って空白 白紙は路地に止めてあった車に乗り込み


「でわ明日、お家ににお伺いしますのでよろしくお願いしますね」


「そんな!! 待って 待ってください!空白さん!!」


そのまま車に乗り走って行った 残されたのは頭を下げたままの先輩だけだった。

力なく振り向いた先輩はこっちに気がついた


「なんだよ!何見てんだ!!みせもんじゃ・・・っておまえは!」


土下座の姿勢から立ち上がった先輩は俺のところに走ってきて


「なあ!たのむ!今の事は誰にも言わないでくれ!! 誰にも知られたくないんだ!頼むよ!」


と大声で頭を下げてきた。


何で急に?正直わけがわからなかった。今まで散々暴力をふるっていたあの先輩が、いまは何かに脅えながら頭を下げてきている。何があればこんなに変わってしまうのか、わからなかった。 

確かにあの場面を見れば大体予想は付くがこんなに錯乱じょうたいで止めに来るか?


そんなふうに思っていると先輩は聞いてもい無いのに、今までのことを話して行った・・・。


なんでも先輩は最初知り合いから紹介された所で親の名義を使って金を借りバイクを買ったそうだ

最初借りた金は、カツアゲをし他人から脅し取った金で返して行ったそうだ。その知り合いともそういうふうに返済して行く予定で紹介してもらっていたらしい。


だがそれから、これが癖になってしまい、事あるごとに借りて行ったそうだ。

でもそんなの事が続くはずもなく、自分では返しきれない額にまで昇ってしまった借金。

そして今日、あの男が現れ親の名前を出されて必死で待ってもらうよう頼んでいた、と

そしてなによりもこの事を僕に見られて、他人に知られるのが怖かったと言った。


それから先輩はだんだんと必死になっていき声も大きくなっていく


「お前みたいになりたくないんだよ! 借金ねたで笑われて友達に売られるようなそんな奴になりたくないんだよ!!」


と僕の両肩を掴みながら言った


「はっ?」



とその僕の反応をみて先輩のほうも動きが止まり冷静になっていった。

「・・・?何だ、おまえまだ気づいてなかったのか?お前が借金して誰にも知られたくないからってサンドバックにしても チクられないからって俺達に教えたのは 葉山だよ お前の友達だったんだろ?」


それはようやく再開した友達 葉山 健司の名前だった


「・・・・」


(嘘だ!嘘だ!あり得ない! そんな必要ないじゃないかだって健司に何のメリットもないじゃないか嘘だありえない)


僕は今言われた事が、理解できなかった。信じられるわけが無かった。


「その顔は、信じてないな? あのな、あいつは俺らにお前を売って俺らとつるむようになったんだよ 俺らは酒もたばこも女も不自由しないから、あいつもすぐなじんでいったぜ」


「・・・・」


(嘘だ聞こえないあり得ないだってあの健司だ。あの健司がうそだ!)


「最近は あいつも俺らの遊びをまねるようになって 色々やらかしているらしいって話も聞く」


(聞こえない)


「それよりこれで誰にもい言わ無いでくれよな」


(もう考えられない)


「じゃあな 本当のこと話したんだ だからたのんだぞ」


と先輩は帰って行った



僕は次の日に、どうしても真実が気になり健司を呼び出していた、先輩から聞いたことを全部話し健司の返答をまった。 


そして健司は・・・笑いながらこう言った


「あれあれ~ 今さらじゃない? もう昔の事わぁ忘れようよ~ ほら、むかしみたいに戻りたいんでしょう~ いいじゃんそんな事~忘れちゃえば~」 

「健司」


「それに死んだお母さんの為にもさ~忘れちゃえよ~これからは~俺が色々教えてやるからさ~」


「健司イイィ!おまえ!!」


そして俺は健司に殴りかかった。



だが、今まで喧嘩すらした事の無いおれが 殴りかかったところで当たるはずもなく、逆に健司に殴り倒された。

そして


「悠~俺に!逆らったらだめだよ~、」


そう言って健司は、僕に顔を近づけて今まで見たことも無い粘つくような笑顔で


「だから逆らえなくなるまでは~調教してあげるよ~悠~」


・・・嘘、だろ、健司・・・・



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