第94話:選手控室にて
投稿遅れて申し訳ありません。この辺の話を入れようか迷ったら遅れてしましました。(土下座)
……あれ? なんか前書きで私、いつも土下座しているような気が……?
「中止ですか……」
「ええ、あの謎の生物が他にもいるかもしれないし、一般生徒たちに危害が及ぶ可能性があります」
闘技場の選手控室に集合させられた俺ら参加者に告げられた結果は予想通りだった。逆にここで続行するのも問題あるし、仕方がないのかもしれない。
「出場選手であったウグラ君も行方不明になっており、その他にも死者やけが人が出ています。参加者にも影響が出ている以上、学園側としては大会を続行することは認められません」
先生の口から淡々と告げられる内容を俺らは黙って聞いていた。
ちなみに、あの怪物の正体がウグラだったことは誰にも分かっていないようだった。俺も自分の口から正体を明かすのは避けている。
理由は色々あるが、一つはこれ以上生徒たちに動揺をさせる必要がないこと。先生の方に言えばいいかなとも思ったが、人の噂なんてどこから漏れるか分かった物ではないので誰にも他言しないようにしている。
もう一つ、言っても信じてもらえるとは思われないと言うことだ。あの化け物からウグラを想像できる奴なんて早々いないだろう。
これは後で分かったことだが、以前、リネアをリンチにしていたウグラの舎弟的奴らは全員死んでいたそうだ。
俺が思うにウグラが謎の豹変を遂げたときに巻き込まれたか、理性を失ったウグラに殺されたかのどちらかだろう。
実に淡々とした死に方だ。これが日本だったならしばらくは連日ニュースになるレベルものであるが、この世界ではそこまで深くは捉えないのかもしれない。親しかった友人たちなどはともかく、他の人たちに他人の事を同情する理由などないというスタンスなのかもしれない。
「それはそうと……では、表彰なども何もないということですか?」
その証拠に、参加者の一人が説明をしていた先生に聞いていた。
「そうですね……その辺はまだ決まっていませんので、後日改めて正式に連絡したいと思います」
そして、それに淡々と答える先生。怒っている様子なども無いところを見ると先生もどうでもいいと思っている人の一人なのかもしれない。
……これ以上考えるのはやめよう。、あいつの事をいつまでも引きずっていても仕方がない。どんな理由にせよ、彼は自分の“欲”に勝てなかった。あの錠剤みたいな物がドーピングの役割を果たしていたならば、あれが卑怯な手に溺れた奴の末路なのだろう。
「では、今日はこれにて解散です。また詳しい事は後日朝礼などで連絡させてもらいます」
参加者たちが次々と控室を後にして行く。特待生組の面々も同じように出ていく。
「……不服……」
普段ほとんど表情が変わらないサヤも、このときばかりは口をへの字に曲げていた。
「くそぉ……来年こそは!!!」
それと熱くなっているのが一名。熱血野郎にはもう来年の大会の事を考えているのだろう。
気づけば周りには俺とエリラ以外、誰も残っていなかった。
「さて……帰るか」
「……ねぇ、一つ聞いていい? あの怪物は何だったの?」
エリラもあの怪物の正体が分からなかったうちの一人か。俺は言おうかどうしようか迷った挙句。
「さあ? 魔族の一人だったんじゃないか?」
そんなことありえないのですが。
「そうだね。あの姿だったらそうかもしれないね」
信じるんかい!! 思わず心の中で突っ込んでしまう俺。自分で言っておいてなんだけど、こんな人間領のど真ん中に街をスルーしてピンポイントで闘技場を狙うってよほど殺しておきたい奴がいるぐらいじゃないか? と言うか、その前に目撃証言があるだろ。
「残念だったね、クロだったら余裕で優秀者だったのに」
「まぁ、そうかもしれないな」
「んー? どうしたの? なんか元気ないように見えるけど?」
「えっ、そ、そうか?」
おかしいな普段通りのつもりなんだけど。
「顔に出ているわよ。伊達にいつも隣にいる訳じゃないのよ」
エリラはそう言いながら俺の顔をツンツンと突いてきた。
「何にも無いさ。さて、サッサと帰るとするか」
サヤの修業期間も終わったので、今日は久々にゆっくりと眠れそうだ。もっともエリラの添い寝は継続中なので悶々とした状態に変わりがないのですが。
「ところでさ……」
急にエリラの声が小さくなった。見てみると赤面顔に少しモジモジしながらこちらを見ていた。
「ん? こんどはどうしたんだ? トイレか?」
「な、なんでそうなるの!?」
「いや、何となく」
「ち、違うわよ!! ……えっと、その……さ、クロってさ……ごにょごにょ……」
ん? 何か言った見たいだが俺には良く聞こえなかった。
「何て?」
「だからさ……クロってさ……私との子供とか……欲しい?」
「ブッ!!?」
突如投下された爆弾に思わず吹いてしまった俺。エリラは言ってしまったという顔をしていたが、目は離す事無く俺を見てくる。
「い、行き成りどうしたんだよ……さっきの戦いで頭撃ってしまったか?」
「ち、違うわよ……その……ほら、朝さ……」
「朝? ……ああ、ゼノスさんの事か」
俺は、結構さりげなくスルーしていたが、大会前に俺らに言ったあの言葉をどうやらエリラは真に受けてしまったらしい。(第83話参照)
「き、気になるんだもん!」
「年齢的にまだそんな歳じゃないだろ……」
落ち着け俺。ここは俺がクールに行かないと駄目だze。
↑少しテンパって語尾が片言になっております
「そういうのじゃないの……今じゃなくてもいつかって言う意味で……」
爆弾発言をする前から赤面顔だったエリラの顔がさらに赤くなっていく。ほっといたら自分の髪の毛の色ぐらいに赤くなりそうだ。
それにしてもどうしよう。俺、前世でそんな経験無いからな……彼女いない歴=年齢ですし。……セフレ? いる訳ないじゃないですかヤダー。
「……そうだな……俺は―――」




