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【異世界転生戦記】~チートなスキルをもらい生きて行く~  作者: 黒羽
第2章:魔法学園・魔闘大会編
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第92話:暴走するウグラ(?)

二回戦、第三試合:クロウ v.s. ウグラ



「……遅くない?」


 もう10分は待っているような気がするのだが。


「そうだな。おい、誰か見て来い」


 俺の声に反応した審判が闘技場の出入り口にいる補助員の一人に呼んでくるように指示を出した。



 さて、いつもなら瞬殺で決める俺だが、今回はちょっとそれは無しにしようと思う。


 と、言うのも一回戦のウグラの強さは可笑し過ぎる。魔法の威力、詠唱速度、そして体術……全てにおいて異常な動きを見せた。


 まぁ……だからなんだと……レミリオン戦の時に思ったが嫌な予感がずっと離れないでいる。あいつのことは全然知らないが、少なくとも見てきた中では決していい奴とかでは無い。


 まあ、それで力が無かったらそのまんま放置しても何れどこかで行き詰るからまだ良かったんだが……。


 それにしても何であんなことが? ステータスを誤魔化しているとは思えないし、そもそも《遮断》無効化スキルを持っている俺には通用しない技だ。


うーん……前は《透視》を使っていたからと思って放置していたけど、やっぱ一度セラに聞いていた方がいいかもなぁ。


 その時だ。


「……!?」


 急に襲ってきた殺気。それを感じた瞬間、既に俺の体は横に飛び乗っていた。

 それとほぼ同時に俺のいた場所を黒い物体が通過していくのが見えた。それと同時に反応しきれなかった審判の下半身が地面に崩れ落ちていくのも見えた。おそらく上半身はあの物体にもぎ取られたのだろう。うえ……見ないようにしよう。


 地面で軽く一回転し勢いを殺さずに体勢を整える。


 そして、先程の黒い物体の正体を確認した。ちなみに、この時に既に《神眼の分析》を使用しているので、どんな奴なのかがすぐに分かった。


「おいおい……冗談だろ……」


 体長およそ5メートル。形は人に近かったが全身を黒い皮膚に覆われており、肩や肘などの関節部分には角が生えていた。手には鉤爪があり、先端部分は返しが見て取れた。例えるなら釣り針を大きくして真っ直ぐに伸ばしたものだろうか。

 黒い物体がこちらに振り向いた。怪しく光る眼は見るものを一瞬で凍りつかしてしまいそうなほどに鋭く、危険だと本能が感じ取っていた。


 客席が一気に騒がしくなりすぐに観戦者たちは我先にと逃げ出し始める。


――――――オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オォォォォォ!!!!


 黒い物体はこの世の声とは思えないほどに低い雄叫び声を上げた。そして、ギロと俺を人睨みしたかと思うと次の瞬間、俺に向かって走り始めたのだ。


「ッ!? 《多重防壁(ポリゴン・ウォール)》!」


 黒い物体の突進を《多重防壁》で無理やり押し止める。


 一瞬、止まったかに思えた黒い物体だったが


――――オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ォォォォ!


 再び雄叫び声を上げ、俺の防壁を無理やりぶち破ってきた。


「うおっ!?」


 咄嗟に横に飛び乗り、間一髪で黒い物体の突進を回避した。


「あっぶねぇ……連式にしてないとは言え、簡単に破ってきやがった」


 正直《土壁(アース・ウォール)》だったらもっと簡単に打ち破られてただろう。


「それにしても……」


 俺は《神眼の分析》によって表示されている文字を見て、何したんだよと思わざる得なかった。何故ならそこに表示されていたのは……



名前:ウグラ(?)

種族:???

状態:狂人(バーサーカ)、???



 ウグラ(?)と表記されている黒い悪魔……。嫌な予感とは良く当たるものだとつくづく思い知らされる。


「何したんだよお前は……」


 状態異常の一つ『狂人』。RPGなどでは攻撃力が大きく向上する代わりに、防御力が大きく低下しさらにはプレーヤーの命令を聞かなくなる事が多い。


 この世界で『狂人』を見るのは珍しい事ではない。お酒に酔って喧嘩っ早い奴らによく付いていることがる。どっちかと言うと《泥酔》じゃないかなと思うが、ステータス表示がこうなるのだから仕方がない。

 よくよく考えれば全く違うと思うのだが……。


 そして、今回も謎表記……一体なんだよこれ……万能スキルにも分からないことがあるんだな……。


「クロ!」


 エリラが剣を片手に走ってくるのが見えた。さらに目の端に見える観客席でアルゼリカ先生を始め先生たちが避難誘導をしているのが見えた。

 さらに闘技場の出入り口付近から競技場内に入ってくる人も見えた。全員が白色のローブみたいなのを着ているので、警備隊かもしれない。


「全員! 配置に付け!」


 その集団の中にいた一人が合図を出すと、合図を出した人を中心に輪形を描くような陣を組む。


「一六七式《桜燐》詠唱開始!」


 俺みたいに一人で複数の魔方陣を操るのは至難の業だ。だが、一人一人が必要に応じた魔法式を一個ずつ作り上げ、それを組み合わせることによって、大型の魔方を作り出すことが出来る。

 分かり易く言うならヒーロー戦隊シリーズでお約束の合体技みたいなものだ。


 ただ


――――ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァ!!


 本当の悪は正義のヒーローが必殺技を出すまで待つなどと言うことはしない。特撮なら取り直しだが残念ながら、これはガチである。


「! 逃げろぉ!」


 そう言ったときには時すでに遅し。ウグラの腕が陣形を組んでいた警備兵たちに襲いかかっていた。くそっ! あいつまだ早くなるのかよ!

 さっき俺に突進して来た時よりも格段に速度を増した攻撃に、警備兵は成す術無く無残にも絶命していく。


「《破砕隕石(クラッシュ・メテオ)》!」


 地面から弾丸の如く石(正式には周囲にあった砂が凝固した物。威力には影響無し)が飛び出し次々とウグラにヒットする。


 だが、そんなことを諸共せず、ウグラは警備兵たちを潰したり、捕まえて真っ二つに引き裂いたりしていく。


「くそ! 最大出力だったのに威力不足かよ!」


 実はと言うと《破砕隕石》の威力はそこまで高くは無い。人間にも各々に保有可能魔力上限が設けられているのと同じで各魔法にもつぎ込める魔力上限と言うものが存在する。

 それを突破して魔力を入れると……お察しの通り暴発します。安定の爆発ですよ、ええ。


「なら、これでどうだ! 《海神の槍(ポセイドン)》!!」


 あの黒龍の翼すらも(第9話参照)一撃で引き裂いたこれならどうだ?


 三又の槍が一直線に飛んで行く。当たるかと思ったが、ウグラはこちらに気づくとすぐに攻撃をやめ、回避をした。槍はウグラの顔の横を掠めていったが外し、そのまま闘技場の壁にぶつかり壁に大穴を開けてしまった。


「ちっ、もっと威力の高いものかよ……」

 

 と、その時エリラが走っていく姿が見えた。エリラはウグラが回避した方向へと向かっていた。なるほど着地する前に叩く寸法か。

 エリラが剣を片手にウグラが着地する地点に一目散に走る。


 だが、敵も簡単には引っかからない。


 ウグラはスッ飛び乗りつつエリラの方へ手を突き出した。


「えっ?」


 と、次の瞬間。ウグラの手からとてつもない衝撃と共に魔弾が飛び出していた。


 回避する間も無く魔弾をもろに受けたエリラは、今まで進んでいた方とは180度正反対に向かって弾き飛ばされた。


「ぐっ……はぁぁぁぁぁぁ!」


 エリラが飛ばされてきた魔弾に負けじと両足を剣のように突きブレーキをかけた。そして、任されるがままに飛んで行っていたら壁に穴を開けかねないほどの速度だったのを、なんとか壁すれすれで止める。


「大丈夫か!?」


 片手を上げて大丈夫と合図をするエリラ。


 一安心と行きたいところだが、敵は待ってくれないだろう。エリラですらもあそこまで吹き飛ばされるとなると、魔力は高め。瞬発力もかなり高いので基本ステータスはかなり高いとなるな。

 でも、これ以上は闘技場ぶっ飛ばしかねないし……。《流星群》であいつを倒すぐらいの出力だったら、この辺一帯がクレーターだらけだし……。


「……あっ、剣使えばいいじゃん」


 今更ながらにこの事実に気づく俺、ルールで剣禁止だったのですっかり忘れていました。


 ……それにしても俺、なんでこんなに余裕があるのだろうか……。やっぱり俺も戦闘民族の血が(yr


 


 《漆黒・改》を取り出し武器を構える。



――――ゴガァァァァ!


 

 雄叫び声を上げ俺を一睨みするウグラ。改めてこいつが本当にウグラなのか怪しくなる。


「……行くか」


 俺は剣を片手にウグラに向かって走り出した。

 毎回思うのです。クロウ君はあんまり高威力の魔法を作っていないなと。《流星群

》も範囲攻撃ですし、今度魔法を作る回でも作ってみようかなと思ったり(マジメにやるとは言っていない キリッ)


 いつも感想ありがとうございます。皆さんの感想を見てると頑張ろうと思うことが出来ます。

 これからもよろしくお願いします。以上、黒羽からでした。では、また次回お会いしましょう。



 ※オマケ・友達からの質問


 もう一つのスピンオフはどうなっているの?


 A:書きたいキャラが出ていないのと、アイディア不足で、書いてもボツにしているからです。あと不定期だから気ままでいいかなと、思ってこっちしか書いていなかっ…うわっ、何をするやめrアーーーー!!!







 頑張って行きます……グフッ……

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