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【異世界転生戦記】~チートなスキルをもらい生きて行く~  作者: 黒羽
第2章:魔法学園・魔闘大会編
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第91話:二回戦へ

「ただいま」


「お、お帰り……」


 闘技場の客席に戻って来た俺は何事も無かったかのように元いた席へと戻ってきた。ちなみに階段を上るのは面倒なのでジャンプして直接戻ってきました。


※闘技場の壁の高さ……約10メートル


「今度はどんな魔法を使ったのよ……」


 何故か死んだ魚のような眼でエリラは俺に聞いてきた。


「秘密」


 と言うか、魔法とか使っていないのですが。せいぜい空間を固めたり、しただけで移動速度は素のステータスで出来る範囲の事だ。


「秘密って……それより、何であの子を助けたの?」


「まあ、マジで危なかったからかな?」


「でも、彼女は……」


「それともこんなところで死体を見たい?」


 前回も言ったが、ここにいる生徒は恐らくほとんどが死体など見たことがないだろう。いくら前の世界より命が軽く扱われると言っても、目の前で人が死んだりでもしたら何かしらの影響はあるかもしれない。


 と、前に兵士を殺した人が言ってみたり。いや、俺だって好んで見たくねぇよ。


「まぁ、それもそうね、ところでさ……さっきから視線が痛いんだけど……」


 見ると俺らの背後でお偉いさんたちが互いに目で牽制しあいながらジリジリと寄って来ているのがわかった。眼が怖い。


「よし、逃げよう」


 そうしよう。と言うか逃げないとヤバいと俺の脳が言っている。


 だが、俺たちの会話が聞こえたのか、先程まで目で牽制し合っていたお偉いさんたちが、今度は通路付近に固まってしまった。

 いや、君たち《意思疎通》でも使えるの? なんで眼だけでそこまで緻密に動けれるの?


 すっかり包囲されてしまった俺たち。さてどうしましょうか……。


 後と左右はお偉いさんたち……となると……。


 いいアイディアを思いついた俺は闘技場の方を確認する。

 よし、まだ試合は始まっていないな。それが分かると俺は咄嗟にエリラの腕を掴みそのまま闘技場を囲っている石のフェンスに足をかけた。


「えっ? ちょっ、クロ何を―――」


 急に掴まれたエリラは俺が何をする気なのか分かっていない。まあ、普通考えつきませんよね。


「こうするのさ!」


 俺はご自慢のステータス任せにエリラを、自分の体に引き寄せると、そのまま余っている方の手で、エリラの脹脛の裏から彼女を支え、もう片一方の手をさっとエリラの肩に当てる。


 まあ……簡単に言いますとお姫様抱っこ状態です。


「行くぞ!」


「へっ?」


 それはさておいて、そのまま俺は客席から闘技場の方へと飛び降りたのだった。


※何度も言いますが高さは10メートルあります。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」


 響き渡るエリラの絶叫。彼女が反射的に俺の体に巻き付いて来た。おう、この体勢当たっていまっせ。いや、どこがとは言いませんが。

 だがもはやこれくらいでは動じないぜ……アレ? おっかしいな……俺、賢者(意味深)になった覚えは無いのだが。


 そんなことを考えているうちに地面が近づいてきた。


 普通これくらいの高さから落ちれば「足首を挫きましたぁ!」とどこかで聞いたことあるようなフレーズが聞こえてきそうですが、残念ながら俺にそんなフラグは立ちません。


 回収しないからな?


 周囲からどよめき声が聞こえる中、ドスゥンと言う音と共に俺は華麗に地面に着地に成功する。


 挫いていないからな?


 パッと上を見ると、お偉いさんたちが顔を覗かせていた。ざまあと言ってやりたいが、ここはサッサと退散することにしよう。

 












「もぉ、、ばかぁぁぁぁ!」


「いやぁ、スリルあったな」


「スリルあったじゃないでしょ!」


 プンスカしながらポカポカ俺の背中を叩くエリラ。ただ、顔が赤面状態だったので色々な意味で恥ずかしかったのだろう。


「うぅ……どうせならもっと良いシチュエーションで抱っこしてほしかった……」


「ん? なんか言った?」


「な、なんでも無い!」


 ?? まぁ……いいか。












==========


 選手控室の一室。部屋の中で一人苛立ちを隠せない人物が一人いた。


「くそったれが! こうなったら……」

 

 ウグラはおもむろにポケットから紫色の錠剤を取り出す。


「一個であれ程の力ならきっと……」


 そういいながら紫色の錠剤を口の中に放り込む。数にして5錠。ゴクリと音を立て錠剤が胃袋へと入っていく。


「ははは……これで、あいつにも負けない……潰してやる……」


 ウグラは一人高笑いを上げていた。

 そのときであろうか? ミシッ……そしてドクンと心臓が波打つような音が小さく、だがハッキリと聞こえた。


 だが、高揚している彼にの耳には届かなかった。彼の頭の中は行かにしてあの少年を潰すかと言う考えしかもはや無かったのである。





==========






「《翔空》!」


 手に纏わりついた風の刃が男子生徒を襲う。あまりの威力に一秒足りとも踏ん張れずに遥か後方へと吹き飛んで行った。

 そして、地面で2回ほどバウンドをして、ようやく動きが止まった。


 しばらく待っても立ち上がる気配が見えないのを確認し、審判が試合終了の合図を出す。


「勝者! サヤ!」


 サヤはその場で一礼をすると、闘技場を後にした。



「やっぱりサヤは飛びぬけているな……」


 俺は控室から試合の様子を見ながら呟いていた。


 ちなみに、この前の試合でシュラも勝っている。そして、2回戦でシュラとサヤがぶつかることとなった。

 そして、サヤの試合を最後に1回戦の全ての試合が終わり、2回戦へと突入する。



 その後、リネアも無事、勝利を収めることに成功し、いよいよ俺の出番となった。



「さて、ちょいとお仕置きして来るか、じゃ行ってくるわ」


「頑張ってよ! あんなカッコつけた手前負けないでよね」


 エリラの声援を後ろに俺は闘技場へと足を踏み入れたのだった。

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