第9話:黒龍
※8/15 取得スキルを追加しました。
※8/16 誤字脱字を修正しました。
※11/3 加筆修正をしました。(大幅修正)
2015年
※ 3/19 誤字を修正しました。
8/15 通算10,000PVを突破しました。ここまで読んで下さった皆様に本当に感謝です。これからも応援していただくとうれしいです^^
世の中には絶対に敵対してはいけないものがあるらしい。ひとつは神、いるかどうかは別としてこの世界の人たちは宗教深いところがあるらしい。。アレスは信じていないらしいが一応ひとつ入信しているらしい、治癒魔法で補助の恩恵を受けるからだそうです。現金な奴だな。
そして……今俺たちの目の前にいる生き物もそうらしいです(泣)
「逃げるぞ!!」
レイナの言葉に俺とアレスは弾かれたように逃げ出した。だがあれにとってはちっこい豆粒みたいな存在なんだろう、あっという間に追いつかれた。
ちなみに俺は全力で逃げていないよ、だって全力でやったらレイナとアレスを置いて行ってしまうもん。ちなみに一番足が遅いのはアレスだ。それでもかなりの速さなんだが。
先回りされ降り立つ、ズゥンという音と共に風が吹き荒れる。くそっとレイナがつぶやくと槍を構える。
目の前にいるのは大きさは40メートルは余裕でありそうな巨大な龍だった。全身が黒く赤い瞳をしていた。その瞳に見つめられれば一般人なら卒倒するだろう。
だがここにいるのは歴戦の強者だ一名を除いて。
「……龍?」
「ああ、こいつが龍族の祖先であり、もっとも世界で敵に回してはいけない奴だ」
アレスがマジメな表情になってる、明日は槍が降るな。
「おい今なんか失礼なことを思わなかったか?」
「イエ ゼンゼン」
こいついつのまに読心術を覚えたんだ?
「ぼけている暇があったら逃げる方法を考えな! あんたら何でそんなに余裕なんだ!?」
いえ全然余裕ありませんが、たぶん目の前の現実から逃げたいだけでしょう。
「ちっ、しゃーねな、クロウ! 俺とレイナで足止めするからそのうちに逃げろ!」
アレスがレイナと肩を並べる。俺は黒龍のステータスを調べる。
――――――――――
名前:黒龍
種族:龍
レベル:―
筋力:4,000
生命:5,400
敏捷:9,050
器用:3,000
魔力:5,500
スキル
・固有スキル:《龍の眼》《千里眼:8》《透視:8》
・言語スキル:―
・生活スキル:―
・作成スキル:―
・戦闘スキル:《見切り:9》《気配察知:8》《回避:9》
《状態異常耐性:10》《跳躍:10》《炎耐性:8》
・武器スキル:《格闘:10》
・魔法スキル:《火魔法:10》《闇魔法:9》
・特殊スキル:《龍の力:10》
・特殊能力 :《硬化:10》《飛行:10》《咆哮:10》
――――――――――
うぎゃあああああああチートすぎるぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!
えっなにこれ!? スキルとか神クラスじゃん!? 《龍の力》も10ってうそぉぉおん。他にも戦闘スキルとか完全におかしいじゃん!?
黒龍がすうぅと息を吸うのが見えた。あっこれやばいぞ俺の脳内は速攻でそれを理解した。あれをどう防ぐか考える暇もなく黒龍から特大の咆哮が飛んでくる。
―――スキル《明鏡止水》発動
周囲の動きが遅くなる。(思考が加速されるためそう見えるだけ)
アレスとレイナは動いている様子は見えない。早すぎるからだろう。
俺は二人の首元を掴むと跳躍で全力で横に飛ぶ。咆哮は地面に着弾したかと思うとそのまま爆音を響かせながらあたりに衝撃波を伝わらせる。そしてその衝撃は俺らにも飛んでくる。
「ちっ、《土壁》!!」
目の前に土の壁を作り上げる。強度は俺の出来る限界値。どれくらい堅いかはわからないがやれるだけの手は打たないとな。
強烈なブレスは一瞬で辺りを荒野へと変えてしまった。集落の村も一瞬で吹き飛んだ。
黒龍が勝利の雄たけびを上げる。だがその雄たけびは一瞬で別の叫び声に変わる。
「《隕石》!!」
上空から見たこともないスピードで落ちてくる岩の直撃を受けた黒龍は体勢を崩した。黒龍は何が起きたかわからなかったが目の前を向くと小さな生き物が空を飛んでいるのがわかった。
小さな生き物は何かをつぶやいた。すると小さな生き物の周りに何やら球体が浮かんでくる。数にして20はあるだろうか。
「《光球》!!」
光の球が黒龍へと一目散に飛んでいく、黒龍は直感で飛んでくるものがやばいものだと察知したのかすぐに迎撃態勢をとる。
再び息を大きく吸い咆哮を放つ、先ほどの白色から変わり黒色のブレスが飛んでいく。闇の属性を付加した咆哮だ。二つの技は空中でぶつかり合うとそのまま魔力の衝撃を放ちながら相殺をしていく、だが球体と咆哮では攻撃種類で圧倒的な咆哮が勝り、光の球を貫通して生き物に向かっていった。
確実にやった、黒龍はそう思っただろう。
だがその思いは、背後からの強烈な蹴りで打ち破られる。
「グオッ……?」
黒龍の視線の先には咆哮で消したはずの生き物が生きていた。
「なんつー威力だ……強すぎるだろ。あんな咆哮受けたら一発でお陀仏じゃないか……」
正直やばすぎる。俺の魔法で一応ダメ―ジは与えられているみたいだがほとんど効いてないのか、特に怪我とかをしている様子も無い。
「もうちょい出力を上げたいんだけどな……」
これ以上はやばい。これ以上の力を使えば本当にこの辺りが荒野と化してしまう。集落もブレスで吹き飛んだとはいえ、まだ生存者はいるだろう。それは俺の《気配察知》でわかっている。
とりあえず観戦者だけでも避難させるか。俺は自ら作った土壁の近くまで一瞬で移動する。いつもなら彼らの眼で追えるくらいのスピードで移動するがさすがに、今は出し惜しみしている暇はないので全力で移動する。
「とりあえずどこかに逃げておいてください。ここに居ては巻き込まれますよ?」
ぽかんと口を開いたまま何も言わない二人。気持ちはわからんでもないけど。
「……さっさと走る」
ボソッとそれだけ言うと俺はその場を離れた。というのも黒龍がもう咆哮を放とうとしているからだ。
「《海神の槍》!!」
作り出したのは水で作り上げたモリ。ポセイドンと言えば大体どんなものか想像できるだろう。だが俺の魔法はちょいといじって風で加速するように出来ている。槍が当たった瞬間に雷を炸裂させてもいいけどまだどんな感じになるかわからないので封印している。
範囲攻撃がダメなら一点集中はどうだと思いこの魔法を作り上げた。
俺の手から放たれた槍は黒龍の顔に向かって加速していく。発射した瞬間は時速200キロ程度だったが、当たる頃にはマッハ2程度には加速していたと思う。
黒龍はブレスを放つのをやめ回避する、だが加速する槍にわずかに遅かった。
翼の一部に槍がヒットしそして貫通した。黒龍は苦痛の叫びを上げながらもクロウを睨みつける。さすがだなとクロウは思っていた。
「やっぱり出し惜しみはダメだな」
今度は先程龍族の防壁を軽々と破壊した火の玉をだす、だが今度は先程みたいに小さなものではない。大きさはバスケットボールほどの大きさまで拡大している。
そしてその数である。周囲に展開している数はおよそ20個。
一つ一つが山一つは軽く吹き飛ばせるぐらいの力を持っているだろう。黒龍がそれに気づいた時には
「《誘導火炎弾》」
炎の球が目の前に飛んできていた。
「さて、こいつはどうしようかな」
俺の目の前には完全にのびきった黒龍がいた。死んでいないぞ、伸びてるだけだぞ。それにしてもアレをくらっても生きているとはなぁ……
さてアレスやレイナはどこまで行ったかな? 《気配察知》《千里眼》《透視》を使い探索する。
あっいた、こちらに向かってきているな。あと数分もすれば到着するかな?
―――小僧
ん? 今何か聞こえたような……?
―――小僧、お前のことだ
バッと黒龍の顔を覗く。見ると意識が戻ったようだ、思わず構える。だが妙な感じがした、先ほどまでの敵意が全く見てとれないのだ。ちなみに言語は龍族語みたいだ。やっぱり龍だからかな?
―――おぬしは何者だ?
よく見るとしゃべっていない、心に語りかけているのか?
「何者って言われてもただの龍族と人の間に生まれた人としか言いようがないんだけど?」
―――違うな、おぬしのその規格外の強さ。おぬし転生者か?
「!? なんでそれを」
―――創世者セラから転生したものの話は聞いていた。まだ3歳ほどだが想像以上だとな
「……セラ? 誰だそれ?」
―――創世者セラにまだ会っていないのか転生者よ。なら今晩にでも会うようにとりつけてやろう
「いや、ちょいまて事の事情を全く理解出来ないのだが、どういうことだ?」
―――詳しいことはまた後で話そう。とりあえず解放してくれないか? もうワシにおぬしをどうこう出来る力は無い。
本来ならここで止めを刺すべきだろう。だがクロウはあえてしなかった。黒龍のお腹から飛び降りる。なぜか自然に体が動いていた。
―――感謝する。小僧よ
「いや、感謝しなくていいから、とりあえず俺らを襲った理由を教えてくれませんか?」
―――我が子孫が襲われているのだ、駆け付けるのは当然だ
「いや、あなたが止めを刺したじゃないですか」
―――あいつらには私にもわからない意志を持ってるだけだ。私も神ではない……すべてを知ることなど出来るわけがなかろう。
む、無視かよ……と言うか、その言葉は暗に「だからお前たちが襲われたことも知らないから許して」と言っているのだ。正論だけど納得できないよな……
ちっ、都合のいい奴め。
「ところで話すとは一体どういうことだ?」
―――なに、今晩になればわかることだ。
黒龍はそれだけ言うと飛び去って行った。
「で、なんであいつを逃したんだ?」
「もう十分痛めつけて怯えていましたし、当初の目的はあの龍のおかげで果たされたので別にいいかなって、ギブアンドテイクっていう奴です」
「はぁ……それであれを逃がせる余裕が信じられないよ」
うん、俺ももうおかしいと思う。まぁ殺さないには限るよね。どっちにせよあいつは逃がすつもりだったし。
「まっ、確かにこの村はもう再起不可能だな。何人か生きているみたいだがもう村を形成していける力はないだろう」
どこかの村にでも逃げるんじゃね? と言うのがレイナの答えだった。それならもう襲ってくる奴らもいないだろとアレスも納得し家に帰ることにした。
こうして、レイナとアレスの因縁は終わったのだ。以後彼らがやってくることは無かった。
>特別条件《龍と遊びし者》を満たしました。
>スキル《龍の力》のスキルレベルが5上がります。
>スキル《硬化》のスキルレベルが5上がります。
>スキル《硬化》のスキルレベルが最大値になりました。
>スキル《性質変化》へと進化しました。
>スキル《飛行》のスキルレベルが5上がります。
>スキル《飛行》のスキルレベルが最大値になりました。
>スキル《変幻飛行》へと進化しました。
>スキル《咆哮》のスキルレベルが5上がります。
>スキル《意志疎通》を取得しました。
その日の夜、俺が今日の衝撃的な出来事に眠れずに起きていた。
人を殺した。間違いないだろう。最初の《炎銃撃》で門番みたいなやつが吹き飛ばされているのが見えた。
そのあとの黒龍戦だってあたり一面を荒野にしてしまっていた。もっともその根本的な原因はあの黒龍のブレスにあるんだが。
もっとも今日の一番吐き気を催したのは、あの死体の山だが、つーか吐いたな俺。
なんだろ親があんなことをしているせいか、俺もそこまで罪悪感を感じないところがある。もちろん抵抗が無いわけじゃない、これからも極力人殺しは避けるつもりだ。
あんなことをやっといて良い訳がないからな。
……これからどうしようか。一応身の危険は多少は遠ざかった。多少は安心して暮らせるだろう。もっとも来ても返り討ちにするんだが。
逆に言えば強くなる理由がなくなった。もちろんこの世界のことだ強くなって悪いことは何にもないはずだ。だがなんというか……明確な目標が消えてしまったのだ。
「悩んでいらっしゃるようですね」
!? ど、どこから!? ちなみにアレスとレイナはすでに爆睡中である。時間は夜の1時と言ったところか。
俺が周囲に気をめぐらせる。
上!?
ばっと上を見上げるとそこには女性が浮かんでいた。白よりはやや薄くねずみ色が着色されたような髪、自然に伸びたロングヘアーはクロウのドストライクだ。顔もスッキリとしており美人だ。
服装は全身白色のワンピースみたいなのを身に着けていた。スタイルも悪くない出るところは出ているし、やばいめっちゃ好み。
いや、問題はそこじゃねぇ浮かんでいる!? あとどこから入ってきたんだ!?
「好みですか、うれしいですね。あと私は神と言われている人たちですからね、浮かぶぐらいはなんてことありませんよ。あと物質はすり抜けれるので屋根から入ってきました」
あっ、心読みやがった。
「あなたは……? もしかして」
「ええ、あの人から聞いているでしょ?」
「ええ、俺を転生させて放置している人だと」
たぶんその通りだろう。ここではあいつしかいないはずだ。
「……今すぐ殺しましょうか?」
「ごめんなさい、もう二度と言いません」
怖い、この人怖い。
「……もっともそうやりたくても私には出来ないんですけどね」
「ん? それはどういうことですか?」
「言葉の通りですよ。私はこうやって思念体を地上に降ろすことはできますが、この世界に干渉が出来ないんです」
「幽体みたいなのですか?」
「ええ、そんな感じよ、もっとも幽体とは比べ物にならないほど高い地位の人だし、この思念体は魔力で作ってあるのよ」
コロコロと彼女は笑う。そして改めて俺に自己紹介をする。
「初めまして、クロウ。私の名前はセラ。創世者セラです」
その日から俺の運命は大きく動き始めた。
ようやくお話が進みだしましたね。もう前の魔法チートで吹っ切れたのかどんどんこういうのをやっていこうかと思います。
コウカイ ハ シテイナイ
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