第79話:縦ロールの子
クロウです。最近、なんか色々な意味で疲れました。主に人とのコミュニケーションで。
魔闘大会開催まで残り2週間を切った。
サヤは半端じゃないほどのスピードでレベルアップを続けている。始める前は30ほどあったレベル差が、今では10程度にまで縮まっている。
だが、エリラもサヤほどの速さでは無いが、確実に強くなっている。
エリラの現在のレベルは82。つまりサヤは72となる。もう一般人と次元が違うような……
まあなんでこんなに急激にレベルが上がったかというと、俺との実戦が原因だ。
俺のレベルは340越える。そしてエリラ、サヤは毎日のように実戦をしている。例え負けても戦ったことによる、経験は残る。数倍格上の俺と戦い続けたのだから、ある意味当然かもしれない。
さらにサヤはエリラという格上(レベル的には)と毎日何十戦も戦っていたのだからレベリングもいいところである。
エリラもあんな事件が無かったら上位ランカーの冒険者になっていたかもしれないんだよな。
まあ、あの事件が無ければここまで強くなれなかったのかもしれないが。
……いや、元々努力家だったし、強くなっていただろうな。
テリュールは少しずつだけど獣族語を覚えて来ている。女性たちともコミュニケーションを取れるようになってくたから良かった。
あと、魔法関係も頑張っている。ステータスを覗いてみると、潜在的な魔力はあるから覚えれる可能性は高い。ただ、今までやったことのないものだから、四苦八苦しているが。
魔法と言えばサヤも風の魔法を使えるようになった。上手く行けばスピードアップや攻撃方法が大幅に向上することが期待出来そうだ。
………アレ? これヘタしたら直ぐに抜かれるのでは? おかしいなこのレベルはもう人外クラスの筈なんだけど……。
と、それなりに危機感を覚えております。
さて、今日は特待生たちだけで闘技場を借りて実戦をやろうと言う話になったので、闘技場にいる。今試合をしているのはサヤとシュラなんだが……。
「………遅い………」
「ゴスッ)ぐはぁ!」
………正直、ワンサイドゲームもいいところだ。シュラもそれなりに強くなったかもしれないが、サヤはもはや冒険者ランクで言うならばAクラスの実力者だ。話にならない。
「はい、そこまでサヤの勝ち、サヤすご~い」
審判をしていたセレナが勝ったサヤのもとへ駆け寄る。
「……クロウたちのおかげ……」
「前見たときとは別人のようですわ」
「おいおい、シュラが手も足も出ないってどういうことだよ」
驚きを隠しきれない特待生の面々。まあ2週間で3倍もレベルがあがれば驚かないほうが可笑しいよな。
「おい、クロウ一体どんなトレーニングをしたらこうなるんだ!」
敗北から復活したシュラがまるで黒光りするGのようにはいよって来た。キモい。
「………毎日骨が折れるレベルのトレーニングを繰り返せば」
嘘は言っていない。あれから無理するなよと口酸っぱく言ったのだが2日1回が大怪我をしていた。もう家の地面にはそこらじゅうに赤い染みが出来ている。馬鹿を通り越して一種の変人である。
それにしても、よくエリラもついていったと思う。
「……遠慮しておくわ……」
流石のシュラもドン引きだったようである。まあ誰でも引くよな……。
「よし、こうなったら残りの2週間徹夜で特訓だ!」
G体勢から華麗なジャンプで立ち上がるシュラ。
Oh……こいつも変人だった……。
「じゃあ次は……」
セレナが次の組み合わせを言いかけたそのとき。
「あら、だれが使っていると思えば……コネで入って来た特待生ではありませんか」
振り替えると、そこには3人の女性が立っていた。
(これまた面倒そうなやつだな……)
俺は心の中で嘆いた。最近……と言うかこの世界に来てからこんな事ばっかりじゃないか?
まとも人と、そうでない人の差が激しすぎるような気がする。
「誰?」
俺はポツッと呟いた。結構小さい声で言ったのだが、残念ながら地獄耳は存在したようです。
「そこのアナタ?」
3人の女性うち一番前にいた縦ロールの女性が俺を指差していた。
(………あっ)
俺はこのとき心の中で自分の失敗に気付いた。
「私を知らないとは言い度胸ではありませんか」
こういうとき、無駄口を叩いてはいけないということを。口は災いの元とは良く言ったものだ。
「おぼっちゃんは下の人など気にも止めないのですね」
いや、誰もそんな事言ってないだろ。
「やはり所詮はコネを使い楽して入学した人ですわね、そんなのですから去年の大会も上位を一般生徒に取られるのですよ」
??? なにこの人。話の主旨が読み取れ無いのだが。何が言いたいのでしょうか?
「まあそんなん学園のメンツを取るなんて……名折れもいいところd」
と、そこまで言った所で
「ちょっと、あなた?」
俺と縦ロールの子の間に割り込んでくる人が一名。
「人のことを知らずに言いすぎじゃないかしら!?」
エリラだ。縦ロールの子を睨み付け、腰に持っていた剣に手が行く。
「大体、あなたはクロの何を知っているのよ!」
「ちょっ、エリラ落ち着けって」
慌てて仲裁に入る俺。短気な所も直りつつあるのだが、まだ時々荒れる時があるので困りものだ。………アレ? それ俺にも当てはまるよな? この前はナルシスト野郎蹴り飛ばしたし。……ってそんなことは後だ!
「で、でもクロ……」
「怒ってくれる気持ちは嬉しいけど、今は落ち着け、争っても仕方ないだろ」
「うっ……う、うん……」
ふう、何とかなるかな? と俺は思ったのだが
「アラ? 奴隷にタメ口を言われるダメ主だったかしら? まあそれなら無知でも仕方ないかもしれませんわ。あと私に話しかけないで下さる? 家畜レベルの存在に話しかけられるとかドブに飛び込んだ方がマシだわ」
さらに要らない爆弾を投下する縦ロールの子。
「おい、あんたもいい加減にしろ! あとエリラを家畜レベルの存在と言ったことを訂正しろ!」
思わず素が出てしまう俺。あとで思い直せば俺も冷静になりきれていなかったのかもしれない。
「訂正? なぜそんな事をしなければならないのですか? 10文字以内に答えてください」
子供かこいつ!? 俺は冷静になろうと必死に自分の心を抑えるが。
「そこのアナタ? おふざけも大概にしてくださいませんか!?
」
「………五月蝿い………」
そこにローゼやサヤも割り込んできた。
そして、このあと事態はさらに悪化をすることになる。
今年も残すところ4日(実際はほぼ3日ですね)ですが、ここは平常運転で頑張ります。
返信など色々遅れて申し訳ありません。気長に待っていただけると嬉しいです。出来る限り急ぎます。(土下座)




