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第68話:帰還

本日、3本目の投下です。


やばい、思っていたよりもきつい投稿だこれ。

 学園に着くと、真っ先に理事長室に来た。まあ、報告は当然だよな。


 アルゼリカ先生も俺の姿を見て、驚いていたが、事情を話すと「そうですか。では後で詳しい話を伺いましょう」と取りあえずは、納得してくれた。


 どこかの、誰かさんとは違って、大人の女性だなと本当に思います。


 それからは、チェルストで起きた出来事と、テリュールについての説明をシュラが一通りしてくれた。


「……分かりました。では、後の事はこちらで処理をしておきます」


「はい……ところで、あれから国側から何かありましたか?」


「いえ、依頼が達成された事は、国から通知が来ましたがそれ以外は何も」


 何もないか……と言う事は、国側は何も知らないか、または知ってて、何も言ってこないか……。まあこの学園の、特待生組を失う事は国としても痛手だろうから、おそらく前者だと思うが。


「そうですか……」


「では、皆様お疲れ様でした。延期していた朝礼は、明後日に行いますので、明日は各自、ゆっくりと休んでください。あと、クロウ君とテリュールさんは残りなさい」


「はい」


 特待生組は外に出て行き、後に理事長室に残ったのは、俺、エリラ、テリュール、そしてアルゼリカ先生の4人だ。


「……信じられない話ね」


「それは、私が一番、言いたい言葉です」


 俺が一番ウソだろ! と思っているよ!


「幸いにも、まだ学園に来てから日が浅いことが、幸いしました。まだあなたの顔は、殆ど割れてないと思いますので、そのままでいいとして……問題は……テリュールさんでしたね?」


「はい」


「あなたは、今後どうするおつもりなのですか?」


「い、一応クロウの所でお世話になろうかなっと思っています。私、剣は出来るので」


「そう、クロウ君もそれでいいのね?」


「はい、問題ありません。彼女の実力は、私も知っていますから」


「分かりました。では、クロウ君、暫くは目立つ行動は慎みなさいね?」


「分かりました」


「それじゃあ、あなた達も解散していいわよ」


「……あの、一つ聞いていいですか?」


「? 何、クロウ君」


「これから、国にはなんと説明を求めるのですか?」


「……あなた達には、申し訳ないけど、今回の事はこちらで不問にしてしまうつもりです」


「!? ふ、不問って、国g―――」


 「不問」と言う、一言にエリラが真っ先に食いついた。俺の後ろから前に出てきそうにするのを、俺は片手で制止する。


「エリラ、立場を弁えろ」


「ぶー」


「あと、場所も考えろ」


 今は、理事長室にいる。いくらアルゼリカ先生が、大らかな人でも行動を慎まなければならない場面だ。ましてや今のエリラの立場は、何を言われようがが動いては行けない。


 元貴族だけあって、察したのか、しぶしぶだが、エリラは元の立ち位置に下がってくれた。


「……従者さんの言う事ももっともです。ですが、これ以上、事を荒立てると国からも何かしらの干渉がくるでしょう。下手に動くと、国の保護下で成り立っているこの学園への援助も無くなるかもしれません。そうなれば、この学園の運営自体も危なくなります」


「……まあ、今回は首謀者が誰だか、分からないのがきついですね。ひょっとしたら、他国の陰謀とも受け取れますが」


 魔族がどうたらこうたらってセラが、言っていたが、ここでこの話をしたら、さらにややこしいことになりそうだ。


「その可能性は高いです。クロウ君たちには申し訳ないのですが、今回はイレギュラーな事故と言う事で、終わらせて貰いたいのです」


 こっちは、命がけだったのに随分と、アッサリとした返答だな。まあアルゼリカ先生の立場を考えれば、分からない話でも無いが……。


「……まぁ、私が良いっと言っても、他の人たちはどうかは分かりませんが」


「それはこちらで、何とかします」


「分かりました。私からはもう何も言いませんよ。幸いにも死者は出ませんでしたので」


 完全に、板挟みだけは避けて上げないと。昔、会社で命がけではないが、似たような状況になったことが、ある俺には、少しだけだが、彼女の辛さも分かるつもりだ。


「そういって貰えると有りがたいです」


「では、私たちはこれにて」


 こうして、この指名依頼は何とも後味が悪い結末となって終息した。












==========


 灰色の皮膚に、赤い瞳、そして、耳の少し上の部分から、真上に向かって伸びている角。黒髪は腰の辺りまであるような長さ。


 この男(?)の姿はいつ見てもこうだ。


「ちっ、失敗しよって……まあいい……、たった一個の策が失敗したぐらいで、私の野望は止められぬ。それにこの作戦はあっても、無くても変わらないわ」


 男は、次なる作戦を練り始めていた。彼にしてみれば、今回の失敗はある意味、どうでもいいことだ。ただし、実行者には何らかの罰を与えないとな、と思っていた。


「しかし、まさかあの魔法を使われて、生還するとはのう……面白い小僧じゃ。もし刃を交える場面があるのならば、是非とも一戦、願いたい物だ」


 男は、誰も居ない広間で、一人笑っていた。










==========








「……」


 ……はぁ……これからどうすればいいだろう……。


 一人寂しく残った理事長室で、私は頭を抱えていた。


「クロウ君は、多分アレで良かったけど……いえ、良い訳がないよね……。彼が今回の一番の被害者なのに……」


 でも、彼は良いと言ってくれた。本当、不思議な子ね。私なら「ふざけないで!」と、言っても可笑しく無かったのに。


 結果的に生徒を危険な目に遭わせて、そして生徒に助けられ……私って本当、駄目な先生ね……。


 ……本当……私は……


 

 小さな水玉が、私の手の甲に落ちたが、私はその時それには気付かなかった。例え、気付いていても、何も変わらなかった。


「また……何を……やっているのかしらね……」



 私は、その日にやらなければ、ならなかった公務を他所に、机にの上に顔を伏せ、自分の無力さに泣いていました。




異世界転生戦記・【第1章:帰還編】・・・完

 と言う事で、第一章はこれにて完結です。非常に後味が悪くなっておりますが、このモヤモヤは後日、キッチリと返しますので、このモヤモヤ感は一先ず、置いてくださると嬉しいです。

 まぁ、書いている私が言える話ではないのですが、私が一番、モヤモヤしています。誰か発散させて下さい。よし、ハヤテ君、君を殴らせてくれ(逆に殴り返されそうですが)


 第二章【魔法学園・対抗戦編】は、今日中に書いてお出ししますので、読んでくださる心優しい方がいましたら、もうしばらくお待ちしてください。

m(_ _)m


 追記・第2章タイトル名は、上記から【魔法学園・魔闘大会編】へと切り替えます。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

 m(_ _)m

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