第59話:ただいま
「お、落ち着いてクロウ 、何を見たかは知らないけど落ち着いて!」
「破っていい? 破っていいでしょ、いえ、破らせて下さい」
俺が本を破こうとするのをテリュールが必死で止める。頭ではこれを破いたら駄目だと分かっているが、破きたい衝動に駆られる。そしてこの光景をまるで予言していたかのように………
『あっ、別に破くのは勝手だけど、破いたらこの本にかかっている魔法が解けて読めなくなるけどいいの? だめだよねー。ようやく帰れるヒントがあるんだから破けないよねー?』
うぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!! すんごいムカつくのですが!
書いた奴出てこい! 一回殴ってやる!
「はぁ………はぁ………」
くそっ、さっきから言いように書きやがって………
『それにしてもドンマイだね、君も神々に敵視されたのかなー?』
………はっ?
『この世界って超面倒だよねー、魔法とかスキルとか全部駄目になるもんねー、おまけに私はステータスが魔法以外低かったから苦労したわー、まあ君なら大丈夫だよねー、死んでないなら大丈夫だよねー』
イライラする書き方しやがって………。
「ねぇ? さっきから空白のページを見てるけどどうしたの?」
「どうしたって………読んでいr………空白?」
「うん、何も書いていないじゃない」
「でも、書いてありますよ? ………あっ」
最初この本を開いたときに『所有者のみに開示します』って書いてあったような………。もしかしてこの文字は俺にしか見えていないのか?
『もしかしてこの世界の人もいるかな? その子には見えないよ。きっと空白のページを見てると思われているんかもね~』
こ、このやろう………まるで今、見ているみたいな書き方しやがって………
『あっ、見えてないからね。これ見てるときはもう天国にいると思うし~』
なんでだろう………さっきから、本と会話しているように感じるのは………
『まあ色々言いたいのだけど、魔力も、もう無くなっているから手短に言うよ~。結論から言うと君はもとの世界に戻れるよ~。連れの人もいるなら一緒に行けるよ~おめ~』
………嘘ついているようにしか感じられないのだが………取り敢えず帰れるんだな。
『でも最大で2人までだからね。それ以上は魔力が無いから。私は本当はこの世界に連れてこられた人たちを助けないといけないから残るよ~、何か手は無いか調べて見ることにするよ~前なら出来たのかもしれないけどね。力を失った今はもう無理~』
………
『あの野郎共ぶっとばしたかったんだけどね、一人じゃ無理があったよ。力が足りなかったんだよね~………てへっ(はぁと)』
………無理やりだな………
『じゃ、もっと詳しい事はスキルに任せておくね~、それじゃ幸運を祈るよ~ 旧創世神 セラ』
はっぁ!? セラって………いや旧って書いているし、名前は襲名制か? いや、もしそうだとしても、なんで創世神が!? おい神々ってどう言う事!? 敵視って!?
一気に浮かんでくる疑問。全く意味が分からなかった。
『p.s. もう一度あの世界を見たかったな』
お、おい説明をーーー
俺が本に思わず文句を言ったとき、突如、最初のとき同様、本が光だした。
「えっ、なにこの光!?」
今度はテリュールも見えているみたいだ。そう思ったとき、本に再び文字が浮かび上がる。
『ディメイション魔法《神の反乱》を発動します。所有者及び、隣接者最大1名を転送します』
ちょっ、待て! まだ聞きたい事が………!!
そんな俺の思いは虚しく消え、俺とテリュールは本から発せられる不思議な光に吸い込まれて行った。
あとに残った本は役目を終えたのか、光を失いボロい本へと戻っていた。
「う………う~ん………」
目が覚めたのは暗い洞窟だった。視界の下ら辺が明るかったので、以外と外は近いのかもしれない。
「ここはどこだ………?」
むくっと体を上げる。
そして俺は目の前に誰かいることに気付いた。
赤い長髪に赤色の瞳。腰には髪の色などとは対照的に青白く光っていた。
そして、涙で顔中がぐしゃぐしゃになっていた、その顔に俺は見覚えがあった。
「………エリラ………?」
「………クロ………クロなの?」
俺の声に赤髪の少女は俺をじっと見つめた後に、ややあって言った。
エリラは姿形とも全く変わっておらず、7年前と同じ姿だった。
よく見ると、エリラの後ろにも懐かしいメンバーが顔を揃えていた。
えっ、どういうこと? なんで7年前と全く同じ姿なの? いくらなんでも少しぐらいは………えっ? えっ?
混乱しているのはエリラも一緒だった。
彼女は何が起きたのか全く現状を理解していないのか、ポカンとしていた。
しかし、次の瞬間、エリラがいきなり俺に飛び付いてきた。勢いはあったが、俺はエリラをしっかりと受け止めることに成功した。そしてそのまま俺はエリラに上から乗られるような形となりながら仰向けに倒れた。
エリラが顔を上げた。顔は涙で残念な顔になっていたが、その顔にも何故か懐かしさを感じた。
「よがっだ………よがっだよぉ゛………」
そう言いながら、エリラは俺の胸に顔を埋め、俺を強く抱きしめてきた。
それを見た俺は、今まで考えていた疑問がすべて吹っ飛んだ。
そうだ………帰えって来たんだな………
「………ただいま………」
俺も考えるのをやめ、静かにエリラを抱きしめ返した。
PC直りませんでした………orz
リカバリーを行い、一度は直ったと思ったが、家に持ち帰り再び立ち上げると逆戻り。
泣いていい? 泣いていいですよね?(泣)
ちなみにコメント返しは出来ていませんが、確認はしているのですが、そのなかで買い換えればという質問をいただきましたので、お答えしますと、私は専門学生でしかも情報系です。この壊れたPCも学校で購入したPCです。
これで交換されらら3代目ですよ、某ユニットじゃあるまいし………(泣)
と、話は逸れましたが、今回の話は如何だったでしょうか? エリラたちの話を入れなかったのは、こうする為だったのです。
個人的には好きな回ですが、皆さんにはどう写りましたでしょうか?
楽しんでいただけたら幸いです。
次回更新は11/23を予定しております。同じく携帯から投稿になりますが、頑張ります。




