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第57話:罠とリバース

※11/24 誤字を一部修正しました。

「だああああああ!!!!」


「いやぁぁぁぁぁぁぁ! なんでこんな事になったのぉぉぉぉ!」


「文句を言っている暇が合ったら走ってください!」


 狭く暗い通路を俺らは全力で走り抜けていた。

 その後からハリセンボンが膨らんだような形をした大玉が転がって来ていた。玉の表面には鋭い針がいくつも付いており、追いつかれたら最後、蜂の巣の様にされるだろう。


 ……そもそもなぜこんな事になったんだっけ?







=====1時間ほど前=====





「……」


「……」


 深い森の中、俺らはある一つの建物の前で立ち止まっていた。


 村を出てからまるっと1週間。この間、特にこれっと言った問題は発生しなかった。

 村を出て南に進んでいると、森が見つかり、この中を探してみようと思って踏み込んできた。

 ヒントなど、何も無いこの状況下でこんな森の中を探すなんて、砂場で針を見つける様な物だと思っていたので、気楽に探す事にした。

 ……が、探索開始からわずか30分で見つかったのだ。そう、見つけてしまったのだ。あまりに淡々としすぎていて恐ろしい位の早さで。


「……これ……なんだろうね」


 見つけたのは古ぼけた建物だ。石レンガで出来ており、壁を伝って伸びている蔓が、長年放置されていることをひしひしと感じさせた。

 1階建てで、辺りの木々より低く、建物に迷彩色を塗られたら森の中に完全に溶け込んでしまいそうなくらい、分かりにくい造りになっている。


「建物ですよ」


「い、いや違う……確かに建物なんだけど……」


 テリュールが指を指した方は、建物の扉のすぐ横にあった、古ぼけた看板だ。かなり傷んではいるが、かろうじて文字は読めた。そして、その看板にはこう書かれていた。



『封印者へ、ようこそ うふっ(はぁと)』



「「……」」


 ……あの……帰ってよろしいでしょうか?


 『封印者』と書かれているので、ここは俺が飛ばされた事と何か関係があるのは間違いないだろう。初めて手がかりを得た瞬間である。

 ……だけど、なんだろう、この心の中にある「行きたくねぇぇぇぇ!!!」と言う気持ちは。


 と、色々と言いたいことはあったのだが、取りあえず俺らは中に入る事にした。















 建物の1階は何も無く、地下に続く階段があったので、降りる事にした。明かりの心配があったのだが、電球虫と言う虫のお蔭で、進むことが出来た。明るさは懐中電灯ぐらいかな? 蛍見たいに光っているのだが、数の暴力によってその光は、建物の内部を明るく照らしている。


「古い建造物ね……」


 壁の石はあちこちがひび割れており、ときどき砂が落ちる音が聞こえて来る。築数十年は立っているのではないだろうか?


「何があるか分からないから慎重に行きましょう」


「あっ、あれなんだろ」


 見ると、石の壁の一部に穴が開いていた、中に何かあるように見えたがここからじゃ見れそうにない。


「あっ、勝手に行かないで下さい!」


「いいじゃないの、何かあるかもよ?」


 俺の言葉を無視(スルー)し、テリュールが壁に近づいた瞬間。



カチッ



「……カチッ?」


 嫌な予感が……と、俺が思ったその時


―――ゴゴゴゴゴゴ


「!?」


 遠くから聞こえる地鳴り。バッと俺が後ろを見ると何やら謎の球体が近づいているように見えた。


「……えっ?」


 テリュールも、それに気づいたようだ。ドンドン近づいて来るにつれその全容が明らかとなる。


 謎の球体は、全身を針で覆ったものだった。パッと見てみると、膨らんだフグを連想させる。そして通路一杯の大きさの球体は、等加速的に速度を上げているように見えた。


 ちょっと待て、ここ平地だぞ? なんで加速しているの?


 と、考えたが


「ハッ! こんなこと考えている暇じゃない! 逃げますよ!!」


 テリュールの手を引っ張り、駆け出す俺。


「あっ! ちょっと、待って中に何か―――」


 なんとマイペースな行動でしょう。この様な状況でも中身が気になるのですよ? 自分の生命とどちらが大事なのでしょうか。


「死にたいのですか!? 生き残って、また来たらいいでしょう!」


 通路は一本道で隠れる様な所は無い。つまりこのままだと、アレが止まるか、俺らが潰れるかのチキンレースと言うことだ。


 そして、冒頭の場面に時間は戻る。







 ……で、現在に至るんだったな。


「うぇ……吐きそう」


 テリュールが顔を青くし、片手で口元を押さえながら言った。


「吐かないで下さいよ!」


 人間、200メートルぐらいを全力で走ったら吐きそうになると聞いたことあるけど、あれは本当のようである。

 ちなみに、俺は全力では無いのでまだ行けます。


 テリュールがマジでギブアップしそうなので、手を貸すことにする。本当は他の罠とかを考慮して、出来る限り両手を空けておきたかったんだけど、そんな事言ってられないな。


「ちょっと、失礼しますよ」


 と、俺は言うと彼女を後ろからすくい上げ、お姫様抱っこをすると、一気に走り出す。彼女は何か言っていたようだが取りあえずスルーだ。その後、彼女は走っている途中でいつの間にか静かになっていた。


 俺たちと針球の距離はみるみる開いて行いった。

 そして、走る事、約2分。俺は広い空間に出た。


 とりあえずそこに入り、やり過ごす事にした。しばらくすると、ゴロゴロゴロと言いながら俺らの横をすり抜けて行った。


 音は遠くなっていき、そして聞こえなくなった。


「……」


 完全に聞こえなくなったのを確認し、ホッと一息つく。全くなんて建物だよ。


「……ん?」


 

 その時、俺は初めて背中に感じる生暖かい感触に気づいた。ふと、彼女を見てみると。


「あばばばば……」

 

「ぶっ!?」


 テリュールの口からはテレビで流そうものならモザイクか、キラキラが必要な物が流れていた。そして、そのリバースされた物は俺の服を伝って下に落ちていた。


「……」


 その後、辺りに俺の絶叫が鳴り響いたのは言うまでもないだろう。














「何やっているんですか……」


「……酔った……」


 取りあえずテリュールを横にして、水を上げて、うがいを促す事にした。その間に、俺は予備の服に着替える。リバースされたのが付いた服はどうしようか迷った挙句、置いていく事にした。だって匂いがねぇ……。

 彼女によると吐きそうになった時に、俺が抱きかかえたのだが、激しく上下に動いたことにより、OUTとなったとの事。

 ……取りあえず、これ以上話すと、女性としての威厳も何もあったものでは無いので切り上げることにする。ちなみに彼女はまだ、仰向けに寝ています。

 信じられないだろう、こいつ、22なんだぜ……。



 しばらく経ったのち、俺たちが逃げ込んだ空間を見渡してみると、広場の隅に何やら扉があった。石の壁の中で木の扉があったら否でも目立ちますよね。


 あんなに苦労したんだからこの先に何かあって欲しいと願いつつ俺が、扉の方に近づこうとすると、テリュールが俺の服の袖を掴んだ。


「まって……」


 ん? 何か見つけたのかな? 俺はそう思ったのだが、次に出た言葉は


「さっき取り損ねたアレ……先に取り行きたい……」


 であった。


 俺は何も言えなかった。そして心の中で思った事は。


(……どこまでも好奇心旺盛なんだな……)


 であった。


 その後、俺がダッシュで取り行く事になりました。



 最後まで読んでみるとタイトルが笑えないですね。実際に受けてみたら私なら泣きます。


 いつも、感想を書いて下さる皆様本当にありがとうございます^^。


 誹謗中傷だけする人のコメントは無視して消す事にしました。

 モウ マヨワ ナイ。


 いつも応援して下さる皆様、本当にありがとうございます

 m(_ _)m

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