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第5話:出会い

 ※8/7 加筆修正をしました。

 ※10/19 誤字脱字を修正しました。

 ※11/3 加筆修正をしました。(大幅修正)

「……は?」


「えっ、そ、その……わ、私は誰?」


「……記憶喪失?」


 アレスはまだ警戒を解いていないが一応、剣を下した。彼女が言ってることが嘘じゃないと直感的にわかったのだ。

 もちろん記憶が戻った時のことも考えていた。身体能力では圧倒的な差がある龍族にまともにやりあっても勝てないことぐらいわかっている。


 そこでアレスは《鑑定》スキルでレイナの能力を見たらしい、そうしたら……


――――――――――

名前:―

種族:龍族

レベル:1

筋力:20

生命:40

敏捷:30

器用:15

魔力:0

スキル

・固有スキル:《龍の眼》《透視:1》《千里眼:1》

・言語スキル:《龍族語》

・生活スキル:―

・戦闘スキル:《身体強化:1》《自然治癒:3》

・武器スキル:―

・魔法スキル:―

・特殊スキル:《フォース:1》

――――――――――


 レベル1だったそうだ。記憶喪失でスキルの大部分を忘れていたのだ。こういうスキルの消失は記憶が戻れば元に戻るらしい。


「……っち、名前はわからねぇか……おい龍族の人」


「わ、私!?」


「お前本当に何も覚えていないのか?」


「あ、ああ全く……」


 この頃から勝気な性格だったんだそうだ。アレスは。はぁとため息をつくと、どっこいしょと腰を下ろした。


「なら仮の名前でも考えるか。……アルマージャとか?」


 ※アルマージャ:人間族の英雄。アレスの時代からおよそ4000年前の人物。ちなみに男性。


「なんだそれ?」


「なんか強そうなイメージから」


「はっ? 私が強そうに見えるのか?」


「同レベルなら俺はお前に負けるぞ。今は別だがな、龍族はそんなもんさ」


「も、もっと他にないのか!?」


 もっとかわいいのってことだったらしい。意外だな今度氷の細工が上手くなったら色々作ってみようかな。


 アレスはやれやれと思うと、それからかなりの名前を出したらしい。意外と気に入るのがなかったらしくて1時間ぐらいかかったらしい。

 最初は色々出したらしいけど後半はあんまりでなかったらしい。うん、アレス名前つけるの下手くそなイメージがあるしな、ちなみにクロウとつけたのはレイナらしい。





 そして1時間後……





「あー、もうなにがいいんだよ! つーかなんで俺は龍族と話しているんだよ!」


「はぁ!? 困っているんだから助けてくれよ!」


「ったく……じゃあレイナはどうだ?」


「レイナ?」


「ああ、深い意味はないけどな」


「……いい! それでいい!」


 大喜びしたらしい。これがレイナという名前がついた由来だそうだ。意外だなぁと思った。その後アレスはまず今後のことをどうするか考えていた。

 アレスは母国があるから戻ることはできる。だがレイナは帰る家がない、思い出せないのだが。そもそもこんなところを見られたらまずい。どちらに見つかろうがどちらかを敵に回すことになるのだ。

 そうなるとアレスに残された道は3つ、一つ目はレイナを捨てて母国に帰ること。二つ目はこのまま残ること。そして3つ目はレイナを殺すことだ。


 1つ目はある意味もっとも現実的なことだろうだが、レイナを捨てることになる。ここは龍族のテリトリーに近いだろうから彼女が近隣に助けを呼びにいけばすぐ終わるだろう。


 だが例え龍族と出会ってもレイナがもとのところに戻れるかは微妙なところである。それは龍族の習慣があった。

 龍族はもともと子供が生まれにくい種族のため一夫多妻制を取っているらしい。しかも二人の男性で1人の女性と体の関係を持っていたり逆もあったりする。用は規模が尋常じゃないらしい。しかも龍族はかなり生命力が高くやる回数が半端ないらしい。(何をやるかは察してくださいマジで書けばえげつないことになりますので)

 そのため誰の子供かわからない場合がある、その場合、任意で育てるか、子供を育てる専用の施設に預けるかのどちらかになる。

 そのためか両親の顔をしらないという人はかなりいるらしい、その習慣のせいで子供などの執着心はほとんどないらしい。


 だから、子供が親のところに戻ることは無い。もっと。もレイナの場合はもう子供じゃないのでそこに行くのはどうかと思う。今後馬鹿にされる可能性がある。アレスはそれを想像してやめたらしい。意外とやさしいな戦闘k……ゲフンゲフン、うん、さすが俺の親父だ。


 2つ目、これはもう話にならない、気配察知で周囲を調べてみたがこの当たりには人の気配を感じなかったので、ここはあんまり人が寄らないところなのだろうと思った。

 そしてあの土砂崩れ。おそらく両軍とも死者の確認だけして行方不明者は死んだと判断して放置するんだろうな。

 たぶん国にそこまでの余裕はないのだろう。または速攻で片付けたかったのだろうとのこと。ああ、なるほど短時間で片付ける必要があったんだな。


 そして3つ目、ある意味一番確実と言える、1つ目が人情ありの現実なら3つ目は非情の現実と言えよう。

 レイナのレベルはあのとき1。つまりアレスなら簡単に殺せるということだ。


 だが、名前まで付けたのでさすがにアレスも躊躇してしまったらしい、種族間の対立が激しい世界だがアレスはまだマシな方だと思えよう。

 

 仕方ないので二つ目を取ることにしたらしい、ただしアレスも種族対立の世の中を歩いてきている、記憶が戻ってから殺されるとかは面倒なので、最初に自分が知っている種族間の対立などをこと細かく教えたらしい。


「……と、いうことこだ」


「……それで、なんであんたは私を殺さなかったんだ? お前の方が早く起きたんだろ?」


「まっ、何故だろうな、俺も甘い奴だったな」


 本当に自分でもなんでか分からなかったらしい、でも今はああしておいて正解だったという。レイナもそばで聞いていてちょっと赤くなっていた、バカ夫婦め。いや嫉妬じゃないですよ。


「……わかった記憶が戻っても私は絶対襲わない」


「……実際戻ったらわからないが今は信用しておくよ」


 こうして歴史上初めてであろう人族と龍族が一緒に生活をしだしたのである。


 それからしばらくは近くで狩りなどをしながら記憶が戻らないか確認をしたらしい、近隣を散策しながら何か思い出せないかと聞いていた。だが彼女の記憶が結局戻ることはなかった。


 それから一週間が経過した。アレスはそろそろ不味いなと思い始めていた。おそらく人間族側はおそらく一度撤退をしたころだろう。だが……


「……! 来るな」


「ん? 誰が?」


「龍族だろうな、お前でも探しに来たんじゃないか?」


「えっ、それじゃあ」


「ああ、俺は隠れるからな、それじゃあ!」


 アレスはそれだけ言うと土魔法で速攻で作り喘げた壁の内側に隠れたらしい。もっとも龍族は《透視》スキルを持っているのですぐにバレそうだが、そこは幸運を祈ろう。


「いたぞぉ!」


 何人かの声が聞こえて来る。よかったなとアレスは思ったらしいだが……


「全員で一斉にかかれ! 証拠を消せ!」


 証拠? 一体何のことだ? アレスは土魔法の一部をいじり外の様子をこっそりと見たらしい。


「な、何のことだ!?」


 当然困惑するレイナ。


「ふふ、これから死んでいくやつに話しても仕方ないだろやれ!」


 後ろの龍族が持っていた弓を構えレイナに向ける。あれ、あいつ何で狙われ―――


 ―――ヒュン シュン


 風を切る音と共に矢が飛び出す。数にして十数本。


 レイナも咄嗟に危険と判断し横に避けるだが、この狭い洞窟逃げる場所など多いわけでなく、あっという間に避ける場所を失い、体に矢が突き刺さる。うっ! という声が上がったが龍族は気にせず矢を放つ。

 矢が刺さった痛みで回避がよりこんなんとなりあっという間に体に十数本の矢が突き刺さり、力尽きたレイナは地面へと仰向けに倒れた。だが、それでも何とかしようと必死に動こうとする、さすがにこの辺りは体が丈夫な龍族だな。体に矢を受けて立つとか弁慶じゃあるまいし、人間には無理だな普通は。


「楽勝だな、おい止めを指すぞ」


 龍族が一斉に弓を構える。太陽に反射されて矢じりがキラリと光る。


「ぐっ、う……かはっ……」


 何とかしないと、と必死に動こうとするだが、そのたびに全身に刺さった矢が内臓を傷つけた。胃でも傷つけたのか咳き込み血を吐く。


 そして、まさに放たれようとした瞬間―――


「させるか!」


 アレスがついに動いた、土魔法を解除し、同時に奴らを一掃するべく魔法を唱える。属性は炎。龍族とは相性が悪いことはわかっている、だがフォースを使う前に片付ければいける!

 アレスは全魔力をこの魔法に注ぎ込んだ、持てる力すべてを発揮するために。


「!?」


 あまりに唐突なことで龍族たちは全員驚き、一瞬動きが止まった、そこを狙わないアレスではない。


「燃えつきろ! 《不死鳥の炎砲フェニックス・ストライク》!!」


 不死鳥をイメージした炎が龍族を一気に襲う。いくら火に強くても所詮は魔力耐性ゼロの彼らにスキルレベル4(このころのアレスの火魔法のスキルレベルは4)の攻撃は効いたのだろう。十数人いた龍族は2,3人逃げただけでほとんどが消失してしまった。

 逃がしたらまずいと思ってアレスは追おうとしたらしいが、それよりかもっと大切なことがあった。


「って、あっちはどうでもいい! レイナ大丈夫か!?」


 アレスはあわててレイナに駆け寄る。レイナは血を吐きぐったりとしてはいたが意識は一応あった。


「まずは矢を抜かないとな、抜くときに痛いかもしれないが我慢しろよ」


 矢を持ち意識を集中させる。そして、フッと息を吐いたかと思うと一気に力を入れて引き抜く。同時に治癒魔法を当て傷を素早く塞いでいく。なるほど、俺も止血するときとかは気を付けておこう。てかそれ痛いよね。俺だったら泣いちゃうかも、いや、絶対泣くだろうな。


「あがっ! ぐっ……」


 レイナが抜けるごとに呻き声を上げる。そして……


「これで……最後だ」


 最後の矢を引き抜き治癒魔法を唱える。あたりに緑色のやさしい光があふれる。そして最後の傷がふさがった。


「……大丈夫か?」


 レイナはゆっくりと体を起こし体を確認する。傷跡は完全に消えていた。それを確認するとレイナはアレスの方を向いた。


「……どうして助けたんだ?」


「はぁ?」


「どうした助けたんだよ。あんた……出てこなければあんたはめでたく故郷に帰れたんだろ?」


「……ああ、それか……さぁな。あそこで見捨てたら後味悪いと思っただけだよ」


「それであんたは助けたのか!? たったそれだけなのか?」


「ああ、それだけさ」


「……」


「それにしてもどうしよっかな、あいつら何人か生き延びたみたいだし、ここにいるのはまずいな、どこかに行くしかないか」


「じゃあ私は置いていきな、これ以上は足手まといだろ?」


「はぁ、馬鹿じゃねぇか? わざわざ助けたのに死地に置いていく意味がわかんねぇよ。お前は死にたいのか?」


「死にたくないに決まってるんだろ!」


「じゃあ生きろよ!」


「……今のでわかったんだよ、私にはもう帰る場所が無い事をね」


 レイナはなんらかの理由で襲われている。アレスはそれがなんなのか薄々気づいていた。この前の戦いで土砂崩れが起きたとき、ほとんどの龍族も巻き込まれていた。たぶん半分以上の奴らがしらなかったんだろう。そして生還者がいた場合、そいつらがあの戦いのことを言ったら結果は明らかだ。おそらく龍族は瓦解してしまうだろう。

 そう、彼らは口封じに来たのだ。そしてレイナもなんらかの理由で私は追われていることがわかった。助けてくれたアレスにこれ以上迷惑をかけたくないのだろう。


「じゃあ俺が作ってやる」


「……はぁ?」


「言葉の通りだ。俺が作ってやると言っているんだ」


「……あんたばかじゃないのか? あんた自分で言ったじゃないか、なんであんたは助けたんだよ……自分の人生捨ててさぁ」


「捨ててないさ」


「……はっ?」


 アレスは両手をレイナの両肩に勢いよく乗せた。そしてレイナの顔をじっと見つめる。レイナは見つめられてなぜか顔が赤くなる


「俺の人生を賭けているんだ、もう後悔してもおせぇんだよ。龍族はもう俺も完全に敵と認識している、このまま味方に戻ってもやってくるだろうな……わかるか?」


「……」


「死ぬのはいやなんだろ? じゃあ戦えよ、死ぬ間際まで足掻いてやれよ」


「……はは、あははははは」


 アレスの言葉を聞くとしばらくは堪えていたのかレイナは爆笑しながら床を転げまくった。


「全く……とんだお人好しなんだね」


 しばらく笑い転げたあとレイナは言った。目には笑いすぎて涙が浮かんでいる。いや笑い泣きだじゃないだろう、その涙にはきっと嬉しい涙もあるに違いない。


「わかった。生きるよ、足掻いてやるさ」


「それでいいんだよ」


 二人はしばらく見つめあった後笑いあったという、その笑いはしばらくの間絶えることはなかったという。









「―――とまぁこういうわけで俺らはここに移り住み暮らし始めたわけさ」


 アレスが一通り話終わり用意していた水を飲んだ。レイナは最後まで顔を伏せたままだった。うんかなり恥ずかしいんだねわかるよ。

 その証拠にわずかに見える頬が赤くなっているのがわかった。


「なるほど、そんな出会いだったんですね。ということはお母さんの記憶はまだもとには?」


 だがアレスの回答は思わぬところに向かう。


「いや、記憶はもとにもどった。今から3年前にな」


「……えっ?」


「3年前、訓練をしているときにレイナが足を滑らせてな、その時に頭を打ちつけたみたいでな、目覚めたときには一瞬殺気を感じたよ」


 こえー……


「それでもお父さんと一緒に生きる道を選んだのですか?」


 うつ伏したままのレイナに問いかける。レイナは「やめてもう言わないで黒歴史掘り返さないで」と言わんばかりに動こうとしない。プルプル震えているような気がするがきっと気のせいだろう。うん気のせいで通すしかないよね?


 そしてアレスが止めとばかりに話す。


「ああそうさ、その時のレイナったら『もうお前なしじゃ生きられねぇよ!!』と言ってな、嬉しかったが驚いドスッごはぁ!」


 にやにや顔のアレスが突如襲来した物理攻撃にその場に崩れ落ちる。犯人はもちろんレイナだ。顔をこれ以上に無いくらい真っ赤に染め、目には恥ずかしの涙が浮かんでいる。よっぽど恥ずかしかったんだな。


「あんたは話さないでいいことまで」


 レイナがアレスの服の首元をつかみギャーギャー騒いでいる。それを必死に回避しようとするアレス。もう威厳も何もない気がしますが、でも厳粛な家族よりかよっぽどいいな。ふと前世の家族との思い出を思い出そうとするが、出てくるのは嫌な思い出ばかりだ。

 あの時のようにはなりたくないなと俺は思った。でもいつかは崩れる。それは俺が前世で感じたことだ紛れもない体験談だ。

 だから今を大事にしよう。


 俺は気持ちを改め、騒いでいる両親を止めに入ったのだった。



 本日も読んでくださいありがとうございます。


 ちょっとグダグダになっちゃいました……やっぱりこういうのは慣れるしかないのですかね。


 次回からは現実に戻ります。そして私は再び手の付けられないようなことをすることになりました(泣)

 いや、やったのは自分ですけど、やりすぎたかも……


 では、次回でまた会いましょう。


 ※感想、質問等ありましたら気軽にどうぞ。

  また誤字脱字報告がありましたらよろしくお願いします。

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[気になる点] 寝てるとき絶対おきない両親が、週2回も襲ってくる敵にやられないのはなぜ?
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