表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/270

第40話:ローゼの家へ向かう道中にて

 ※10/17 誤字を修正しました。

 ※10/18 誤字を修正しました。

 ※10/20 誤字を修正しました。

 翌朝、俺は約束通り朝に学校に来て教室で待っていた。


 ただ、待っているのも暇なので《SLG》で武器の素材や新アイテム、魔法などを考えて待つことにした。


 今この教室にいるのは俺とエリラだけだ。基本的に朝礼の時に集まるぐらいで、あとは自習の為に使うこと以外ではこの教室はあまり使われない。そう考えるとなんだかこの教室が寂しそうに見える。


 2日に一回は清掃員が来るらしいけど、今日はたまたま来ない日みたいだ。


「……それにしてもクロってホントなんでも出来るわね」


 エリラが唐突に話し出す。エリラの今日の服装は貴族の家に行くのでエリラが持っている服では一番高いのを着させた。と言ってもあくまでそれは市場での価値でのお話です。これは殆どお金かかっていません。俺が作りましたから。昨日速攻で、ええ、お蔭で少しだけ眠いです。防具製作スキル様に感謝です。

 昨日来ていた服と能力は同程度だが、こちらは色々な所に行くにしても恥ずかしくないような服装かつ従者と言う立場を失わないようにという意味で作った。まあ一言でいえばメイド服に近いと言えるかもしれないな。

 チャイナ服とかの方が動きやすいかなと思ったけど、色々な意味でやめておいた。ナイス俺の理性だ。まああっちは趣味でもないけどな。遊び感覚で暴走しないでよかった。


「ん? 別にそうじゃねぇだろ? ちょいと魔法と剣が出来るぐらいだろ?」


「昨日の魔法とこの服の仕上がり具合で良くちょっとって言えるわよね」


「世界を見て回れば俺よりすごい奴はもっといるだろうし、俺よりか器用な奴もたくさんいると思うぞ?」


 そうでも思っておかないとなんか、飛んでもないことをやらかしそうだからな。謙虚って大事だと思うけど。いや、謙虚すぎもどうかと思うけど。


「まっ、そうかもしれないけどね、あっ今度、剣を教えてよまだあの魔法剣どうも扱いきれてない気がしてね」


「いいよ、あっ、そういえば魔法剣は使えば使うほど使用者に特化されていくって前、どこかで聞いたことあったな」


「へぇ、そんなそうなんだ」


 まあ、俺の剣限定で言える話ですけどね。まあ万が一その時が来たらわかるだろうから今、説明はしなくていいよな。


 と、そのとき教室のドアが開いた。中に入ってきたのはローゼの従者だった。


「あら、早かったですね」


「朝と言ってもいつか分かりませんからね。早くに越したことはありませんよ」


 この世界の時間って結構ルーズだからな、朝だったらこれくらいかなって時に行けばいいらしいけど、どうも少し早く来てしまう。


「では、案内します」


 教室を出て学校を後にする。


「そういえば、お名前は何というのですか?」


 黙っているのもあれなので、俺はローゼの従者さんに何となく聞いてみた。



「私はゼノスと言います」


「ゼノスさんですね。よろしくお願いします」


「私程の者にさん付など滅相もない。ゼノスでいいですよ」


「う~ん、私、敬語の時はさん付を絶対してしまうのでこのままでいいですよ」


「でも立場という物が」


「そんなの関係ありませんよ」


 敬語の時に呼び捨てとか似合わな過ぎでしょ。


「そ、そうですか……」


「あら、私のときもそんな感じだったわね」


 エリラが横から割り込んで来た。


「別にいいだろ、対等だよ」


「まあ、誰だって同じ反応するわよね」


「はいはい俺が変ですよ(棒読み」


「なんで棒読みするの~?」


 横で起きている見慣れない光景にゼノスはしばらくの間唖然としていた。たぶん理由はエリラの首に付いている黒い首輪だろうな。

 そんなの関係なく俺とエリラのやり取りは続いていく。


「少しは私も構ってよぉ、この前の何か恥ずかしかったんだからね!」


「その前に公衆の目の前でやることじゃねーだろ!」


 そもそも10歳近く年下にやることじゃないと思うんだが。


「ぐっ、だからって無反応はないでしょ! こうしてやる!」


 エリラの拳が俺の頭の天辺に押し付けられると、昔誰かにやられたことある懐かしのグリグリ攻撃をかましてきた。これ最近やる人いないだろ。


(ぐりぐり)「ちょっ、せこいぞ身長差使うなんて!」


「悔しかったら伸びて見なさいよ!」


「数年後には勝ってる! 俺はまだ成長するっての!」


 エリラの身長は大体160センチ程度。対する俺は110センチ程度。50センチ以上差があるので当然俺の方は手を出せません(泣)。だ、大丈夫だ、俺はまだ10歳にも到達していないし。


「だったらあれをガラムのおっさんに言うぞ!」


「ちょっ、クロさっき公衆がどうのこうのって言ってたじゃない!」


「やるのと話すのは別問題だよ。あのおっさんならエリラをいい程度に躍らせてm (ゴスッ) がはっ!?」


 突如したから襲来する強烈な痛み。その痛みは俺の股間から発せられている。そして痛みの根源は……


「い、言わないでよ! 絶対だめだからね!」


 エリラの右蹴りだ。


「ぐおぉぉぉぉ……イテェ……」


 最近、かなり容赦なくなってきてませんか? もちろん全力でやられれば確実に潰れるので(筋力ステータスに○○○の強度は入っていないぞ)手を抜いてることぐらいはわかっている。それでもピンポイントでヒットしたのは痛い……。何か変な汗が出てきているような……。


「……あっ」


 エリラがしまったという顔をしている。おい、今頃気づいたのかよ!?


「ごごごごごごごご、ゴメン!! だ、大丈夫!?」


「誰のせいだと思ってるんだよ! 罰として今日の夕飯抜きにしてやろうか? 今日の夕飯の責任者は誰か分かっているよな?」


「……ハッ そ、それだけは勘弁して~!」


 秒速で地べたに座り込み土下座するエリラ目には涙が浮かんでいます。あれ? 半泣きに成っちゃった。ちなみに夕飯の責任者とは俺の家で毎日料理を作る人を交代で任せているのだ。獣族の大人(すべて女性)と俺とエリラを入れたら総勢17名。それをとりあえず三班にして能力が均等になるように振り分ける。振り分ける基準は持っているスキルの合計数値だけど、俺だけ最近上がって8あるので別クラスです。

 エリラの料理レベルは5。獣族の中に6が二人ほど何故かいたので、俺とその二人で班長。ようはまとめ役を一人作ったのだ。総勢30名近くの人がいるからこれくらいで回さないときついです。お金? 依頼を頑張ります(泣)


 そして、今日の責任者は俺である。


 そして、俺の作る班は3班の中で一番上手い。俺がやっているのもあるけど、獣族の人も吸収速度が速いのだ。おかげでスキルレベルが上がる人が続出中。他の班も当番では無いのに手伝ったり見学をする始末で、どんどん食事のレベルが上がっている。


 お蔭で日本料理も再現する人が出てきています。もちろんまだ簡単なのだけだけど。その内教えたら作りそうだよな。いや作るわあの人達なら。


 日本料理が意外と受け入れられてうれしかったりする。そしてエリラも日本料理が大好きになっちゃっています。


「まあ冗談だよ。でも手加減しとかないとマジで怪我人でるぞその内」


 主に俺の息子が。野球でキャッチャーとかが使うファウルカップでも装着しておいた方がいいかな?


「以後気を付けます」


「ほら立った、服が汚れるぞ」


 俺がエリラの手を取り立ち上がらせる。どこかの漫才みたいな光景にすっかり周りの目を集めてしまった、しかも方一歩は奴隷の首輪持ちとくれば変な誤解する人もいかねないのでさっさと行くことにする。


 こんな事で注目集められたくないな……。










「あ、あの失礼かもしれませんが、クロウ様の奴隷ですよね?」


「えっ? ええ、そうですよ。ちょっと諸事情がありましたけど」


「い、いいのですか?」


「何が……ってああ、いいのですよこれは、俺が素でいいよって言っているので」


「……M?」


「断じて違います!」


 なぜその発想になる。


「私は同じ生きている者として対等に生きたい……そう思ってそう指示しているだけですよ」


「……なんと言うか、珍しい発想なのですね」


 素直に聞いたことないって言ってください。俺ももう充分この世界では可笑しいってわかっておりますから。


「いえ、素晴らしい考えだと思いますよ」


 あれ? 意外な反応だな。この世界では初めてだな。


「そう言ってもらえるとは光栄です」


「い、いえ! 飛んでもございません!」


 こういう人もいるんだな。あっでもさすがに獣族とかも同じことしてるとか言ったら不味いよな。


「あっ、これは秘密でお願いしますね」


「はい、畏まりました」


 うーん、結構若い人に見えるけどかなりメイドとして熟練されているな。ここまでとは言わないけどエリラも、もう少し節度を考えて欲しいかな。まあこれがエリラなんだろうけどな。


 その後は他愛もない話をしながら、俺らはローゼの家に無事到着した。


「やっぱ貴族の家だな……」


 俺の家までとは言わないが、かなり大きい。エルシオンでもこんな貴族の館は数えるほどしかないんだけどな。もしかしてローゼってかなり裕福そうな家の生まれ?


「大きいね」


「では、こちらへ」


 ゼノスさんの案内で俺は屋敷の入口まで来る。って門番までいるよ。俺の家も防犯上必要だったりするのかな。

 ゼノスさんが門番の兵士に声を掛けた。しばらくするとドアを開けてくれて俺らは家の中に入った。


 中も豪華な造りだあちらの世界で言うシャンデリアの灯り。床は大理石見たいな石が覆っており歪みなどはほとんど見えないように見える。技術は中世ぐらいのはずなんだけどすごい出来だな。

 そして、まるで待っていたかのように待つのはメイドの人達。


 ……oh 多くないですか? どう考えても30名はいますけど!?


「お待ちしていましたわ」


 そして、そのメイドに囲まれた一団がこちらに近づいてくる。ローゼだ、学校では動きやすい様にと普通の服を着ていたけど今はとっても煌びやかな服装だ。うん、貴族の家に溶け込んでいる。逆に俺だけ少し浮かんでいるように見えない? エリラはメイド服なので問題ないが、俺の今の服は一般市場に出回るような服を俺が自分で縫って作ったものだ。黒をベースにした作りで、冒険者のように動きやすい作りで作られている。正直こんな所では合わない服だな。……そういえば最初これを見たエリラが「クロだけにクロか…プククク」と笑っていたっけ。

 ……やっぱり夕飯抜きにしようかな。


「本日はようこそ、こちらへ」


 う~ん、ゼノスさんもそうだけどやっぱり身についているよな。とてもじゃないけど昨日叫びながら逃げて行った人には見えない。


 案内された部屋にはソファー2つとテーブルが中央に置かれた部屋で大きさは日本の学校の教室の2倍ほどの大きさかだな。庭がすぐそばにあり、園庭が一望できるところだ。今日は晴れているので園庭もしっかりと見える。バラを始めとする多くの花が綺麗に飾られており、今にも輝きそうなほどの美しさだ。


「綺麗ですね」


「当然よ。いつも庭師が手入れしていますからね」


 いつもなんだな。あとローゼ、君は胸張る所じゃないですよ。


「では、こちらに」


 ゼノスさんの後に付いていき2つあるソファーのうちの1つに腰かける。

 

 うーん、さすがにソファーは日本の方がいいかな? まあ庶民の俺にはこれで十分だけどな。ソファーの良し悪しとか分からないし。ローゼは「しばらくお待ちで」と言うとそのまま部屋を後にした。


「お飲み物をご用意しました。どうぞ」


 ゼノスさんとは別のメイドが俺たちの前にあるテーブルに飲み物を置いてくれた。このテーブルも大理石製で出来ているみたいだ。


 さて、飲み物は……!?


「ごふっ!」


「ちょっ、ど、どうしたの!?」


 咳き込む俺。別に蒸せた訳じゃない。飲み物事態に問題があった。

 というのも、この中に入っていたのはおそらく紅茶に分類される飲み物だ。実は俺は前世から紅茶が苦手でどうもあの味がいつまで立っても慣れなかったのだ。こちらの世界に来て果実水と水しか飲んでいなかったので完全に頭から外れていたのだ。

 そして結論、この世界でも俺は紅茶が苦手なようです。体が変わったから別に味覚とかは変わるとかはないんだよな。今更ながらにこの事に気づくとは……。


 ふぅ……幸いにして被害があったのは俺へのダメージだけで、周囲に激しく飛び散っている様子は見えなかった。


「ごほっ、だ、大丈夫だから!」


「もしかして紅茶が苦手ですか?」


「え、ええ、どうもこの味が苦手で、久しぶりに見たので気づきませんでした」


 久しぶりって言ってももう通算したら10年以上前だな。前世でも決して手をださなかったし。あとこの世界でも紅茶って言うんだな。


「私としては飲んだことあるのと聞きたいわね」


 エリラは平然と飲んでいる。やっぱりもと貴族なだけあって小さい時から飲んでいたのか。


「ふふでも、子供ね」


 ピキッ


「よし、その喧嘩買った。表出ろ、それとも夕飯抜きか?」


「よし、喧嘩を買うわ」


「まあまあクロウ様、落ち着いてください」


 ゼノスに止められて俺とエリラは取りあえず落ち着く。そうだな俺は大人だ(中だけ)ここはクールダウンだ。

 そもそもここはそんな場所じゃないな。てかゼノスさん以外にもメイドいたの忘れていた。部屋の隅っこで今の一通りの流れを見ていたメイドは「あれ?」と言った感じでポカンとしていた。これはあとでゼノスさんのフォローを期待しておこう……対して期待できないけど。


「あれ? そういえば私さりげなく飲んでいたけどいいのかしら?」


 おい、エリラそれに気づくのは遅くないか? つーか今日、かなりの確率で気づくのに遅れていないか?


「ええ、それは私からお願いさせましたので、問題ありませんよ。それよりもローゼ様がそろそろ参られますので」


「あれ? そういえばローゼさんはどこに?」


「お礼の準備とお着替えでございます」


 ん? お礼はいいけどお着替え?


 10分後、ようやくローゼがやって来た。服装は先程来ていた煌びやかな服から学校で見たときに来ていた服と似ている。まあ簡単に言うと普通の女性が着るような服と言えばいいのだろうか。

 あっ、さすがにエリラは俺の後ろに立ちましたよ。さすがにこういう時はしっかりとしてるな。


「お待たせしましたわ」


「いえ、大して。それにしてもあの服で来るものかと思っていましたよ」


「今日は学校でも会う人なのでこちらの方がいいかと思いまして」


「あら? 素直にあの服は着にくいし動きにくいと申していたのは誰でしょうか?」


 えっそうなのゼノスさん と心の中で疑問に思ったが口に出すよりか先にローゼの声が出ていた。


「ななななな何言ってるの! 私はそんな事言った覚えはありませんわよ!」


 と、若干顔を赤らめながらローゼは言った。言ったんだなこの様子を見るに。


「お、お礼の物をお持ちしましたわ」


 誤魔化したな。


 まあそれはさておいて、ローゼが一声かけると後ろから何やら食べ物が運ばれてきた。うわっ、何個が市場で見たことある高い物も混ざってる。買えない値段じゃないけど、あんまり手は出したくないお値段だった記憶があるぞ。


「おお、これは揃えるの大変だったのでは?」


「大丈夫ですわ。私の家ぐらいの貴族でしたらこの程度の物ならいくらでも用意できますから」


「と、言いつつも昨日散々悩んでいtフガッ!?」


 ゼノスが何か言いかけた所でローゼの手がゼノスの口を塞ぎそれ以上の発言を許さなかった。


「と、とにかく食べましょう!」


 本日二度目の誤魔化しだな。まあ俺も深く追求する気はないからいいけどな。



 こうしてローゼの家にてお茶会が始まったのである。

 いつも読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。10月15日に皆さんのご声援のおかげ様で通算アクセス数が500,000PVを突破し、さらに本日10月16日になんと1,000,000PVを突破しました!


 最初は1,000PVでも到達すればいいかなと思っていたのが、いつの間にか当初の目標より1000倍ものアクセス数を達成し本当にうれしいです! こんな初心者が書いている小説を読んでいただき本当にありがとうございます。


 これからも異世界転生戦記~チートなスキルを貰い生きて行く~をよろしくお願いします。



追伸:皆様からの感想やアドバイスなどは真摯に受け止めていますが、あまりに酷い誹謗中傷的な発言をする方々はコメントをお控えください。


 ※アドバイス、感想などありましたら気軽にどうぞ。

 ※誤字脱字などがありましたら報告よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ