第34話:推薦
クロウです。突然のお呼び出しのときにはいつもビクビクして怯えていました。特に上司からの呼び出しだとどんな無茶を言われるのかと思われると胃が痛くなりそうでした。
「さて、突然呼び出したりしてすまないな」
「いえ、で要件は?」
俺の軍隊壊滅事件から4日のことだった。俺は何故かギルドのギルマス室に呼び出されていた。
「なに、お主に推薦状が届いておるのだよ」
推薦状? なんじゃそりゃ。
「どんな推薦状なのですか?」
「魔法学園からのな」
魔法学園? たしかごく貴族の子供たちが通うお坊ちゃま学園とか聞いたことがある気がするんだが、そんなところから?
「何、別に珍しい話では無いわい。だいたい16歳ぐらいまでの優秀な冒険者はたまにこうやって推薦状が届くのじゃよ。まあお主はたぶん最年少だろうがな」
なるほどな、そんな推薦状があるのか。でも俺は今は家の方をどうにかしたいんだけどな……。
「まあ、これは言わば学園からの命令書に近いがのぉ」
「学園から?」
「そもそも魔法学園は、組織自体は独立しておるが、国が自国の地位を見せるためや実力を向上させるために自分直属の者を送り込むことがあるんじゃよ。ようは権力問題じゃな、色々な国から色々な人が集まるからのぉ、ストッパーが欲しいのかもしれないの」
「でも、それだと冒険者を送ると言う意味がいまいち理解できませんが……、冒険者がそんな一国の者と対等に渡り合えるわけがないじゃないですか?」
「外ではな、だが学園内では生徒は全員対等という決まりごとがある。そこに実力が高い若手の冒険者が出てくると、国の奴らは欲しがる。この前のお主のようにな。そしてさりげなく勧誘して来る。あくまで表面上は仲良くしような。という感じでだがな」
「……それって問題ごとを冒険者に押し付けている用に聞こえるのですが?」
「結論から言えばそうなるな。学園内では無闇な行動は取れないが優秀であればあるほどどの国も積極的にやってきてそして、他の国とぶつかり合う。学園はそこで喧嘩と同感覚で処分したいのだろうな」
「冒険者にサンドバックさせているのと何もかわらないじゃないですか……」
「まっ、冒険者も色々な魔法技術などに触れれるから誰もが一度は行ってみたいとらしいがな」
俺はそれに行く必要なくね? いや待てよ、もしかしたらそこには俺も知らないような魔法もあるのかもしれないな。
「そういえば、その学園の場所ってどこですか?」
「エルシオンを東に50キロと言ったところか」
結構あるな。そうなると家からの通いは無理か……いや、あれを使えば……
「でも、その間家が心配ですけどね、エリラやこの前連れてきた獣族も放置ですか」
「そういえばそんな事を言っておったの、獣族は知らんがエリラなら奴隷として連れて行けばよいではないか。学園内でも一人だけなら付き添い人を連れていけれるからの」
……なんでだろ、なんだか嫌な予感しかしない所だな。
「ちなみに期間は?」
「確か6年だったかの。まあお主らみたいな冒険者は授業など受けなくて良いし半分自由に何してもいいようなところだな」
「それ学園っていうのですか?」
少なくとも日本ではないぞ。
「あくまで推薦で入った奴のみじゃよ、そいつらは冒険者としての仕事もあるだろうから月に一回ある朝礼に顔を出しとけばあとは好き勝手やってくださいっていうパターンじゃよ」
ルーズすぎね!? まあ冒険者としてやってきたのならと分からない気がしないけどよ!!
「で、どうするか?」
「うーん……」
家にアレを置いとけばなんとかなるし、ほとんど自由ならこの世界の魔法に付いてももう少しわかるかもしれないな。そうすれば魔法具を作るのも捗りそうだな。
「まっ、おもしろいかもしれませんからいいですよ。その推薦受け入れます」
「そうか、それでは今から1週間後に魔法学園に向かってくれ、そこで詳しい話を聞けるじゃろ」
「はぁ、まあわかりました」
こうして、俺は魔法学園へと入ることになった。貴族たちに絡まれるのは面倒なんだよな。主にウグラとのやり取りもあったし面倒な奴らが多そうだ……。
でも魔法学園とか言うぐらいなら必ず俺の知らない魔法なんかもあるかもしれないし半分楽しみでもあるよな。
……まあ8割方面倒事が待っていそうですが。
学園編開始です。といっても学園が中心になるわけでもないのですが(笑)




